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No弐-669 残業を考える

 1月23日(月)の読売新聞朝刊に「文科省が、『教員給与特別措置法』の見直しに向けて本格的な検討を始めた」という記事がありました。注目してみます。

 

★教員給与特別措置法(給特法)

・1971年制定。残業代を認めない一方で、月8時間程度だった当時の残業時間に基づき、4%の教職調整額を支給すると規定。

・教員の仕事は自発性・創造性を基本とするもので、必ずしも勤務時間では測れないのが理由。

 

★公立小中高校などの教員給与の仕組み

・教員は優れた人材を確保するため、一般公務員より給与を優遇することが法律で定められている。

・21年度大卒18年目の小中教員の年収は606万円。

・一般公務員より10万円高いが、一般職の時間外勤務は月12時間程度。

 

・基本給+教員調整額(基本給4%上乗せ)+諸手当

・学年主任担当(日額200円)、部活動指導(土日3時間程度で2700円)、修学旅行引率(日額5100円)

 

★追加予算

・25年度の通常国会で給特法の改正を目指す。

・国費で年3000億円超の追加予算が必要になるという試算もある。

・一律の調整額引き上げには、残業が多い教員と少ない教員との間に不公平感もあるため、残業代や新たな手当てを導入することも選択肢に入る。

 

★海外での小中学校教員への残業の実態と残業代

「韓国」・勤務時間が8時間を超える教員への残業代がある。

・1日4時間を上限に残業代を支給。月57時間が上限。

・1週間の勤務時間は小中とも日本の6割程度。定時に帰宅する教員も多い。

 

「イギリス」「ニュージーランド」・特になし。

・英国は、残業代はないが、1990年以降、働き方改革を進める。

 教員1人当たりほぼ1人の事務職員を配置。勤務時間は日本より1~2割程度短い。

 

「フランス」・中学教員が担当する授業以外に追加で授業を行う場合に手当てがつく。

 ・主に担当する授業のコマ数分が勤務時間とされ、それ以外の勤務には追加手当が支給されることがある。

 

「ドイツ」・残業代を支給制度はある。

・休暇の取得などで働く総時間数を調整しているため、実際に支給する例は少ない。

 

「アメリカ」「オーストラリア」・残業代はない。

・給与水準を一般公務員より高めに設定。

・ワシントン州シアトル学区では初任給で、上級公務員より1割前後高く設定。

 

★青木栄一教授(東北大・教育行政学)

・教員の仕事を魅力あるものにするには、業務負担を徹底的に軽減した上で必要な処遇改善策を考えないといけない。

 

 残業時間が多い教員ほど熱心なわけではありませんよね?仕事の処理能力の差もあるわけですから。

 「業務負担の徹底的な軽減」をし、教材研究の時間を確保し、「授業の質を高める」ことができれば、「教師の魅力」を感じる先生が増えると信じます。