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蘭学事始 No.7

 

 

こんにちは。

私は英語がほぼ喋れない状態でオランダに来てしまったので、こちらに来て以来語学学校に通っています。そこで受けたカルチャーショックについてお伝えします。

 

色々あるのですが最近受けたカルチャーショックで一番驚いたのは、仕事を得るために書く「履歴書」です。

もし海外で仕事をしたことがある方や、外資系の企業を受けたことがある方がいらっしゃったら、この後の話は当たり前なのかも知れません。その場合は読み飛ばして下さい💦

 

先日語学学校の授業のディスカッションの課題が、誰かが書いた履歴書を見て、改善すべきところを話し合う、と言うものでした。

始まって間もなく、ロシア出身の女性が「生年月日は書かない方が良い。なぜならあなたの給料がそれによって決められてしまう可能性があるから。」と言いました。それに対して数人が賛成なのか反対なのか、またその理由を熱心に語りました。もうこの時点で私は大混乱です。なぜ混乱しているのかわかりますか?

次にブラジル出身の女性が「顔写真は載せない方が良いと思う。なぜならルックスによって、この後面接に進めるかどうか左右されることがあるから。私たちの国では写真を載せないことは多いよ。」と言うのです。それに対して賛成する人もいれば、むしろ全身を載せる場合もあるよ、とか言い出す人まで現れるんです。もう私にとっては理解不能です。おそらく日本人なら多くの方がこの論点に疑問を抱くのではないのでしょうか。

私の感覚では、履歴書の改善点を探すとしたら、そこに書かれている内容について考えます。しかし、海外の人はまず「何の項目について自分は書くべきか」から考えるのです。何の欄もない白紙のデータに、0から自分で考えて書くのです。私たち日本人は、普通は採用する側から与えられた形式で履歴書を書きますよね。大概顔写真は必須だし、生年月日を書かないと言う概念すら私にはありませんでした。

海外の人にとってはどうやらそうではないと言うことに、その時初めて気づきました。流石に中国は日本と似ているのかなと思って、中国出身の人に「中国では日本と同じように、企業からフォーマットは与えられる?」と聞くと、「決まった形式があるところもあるけれど、0から自分で考える会社も良くある」との事でした。やっぱり日本が珍しいケースだったようです。

このカルチャーショックを受けて、日本の就活生がみんな一様に真っ黒なリクルートスーツを着て、前髪を止めて、同じような受け答えをして…というような、よくテレビなどで取り上げられている姿を思い出しました。履歴書もそれを象徴しているような物なのかな、と感じてなんだかショッキングでした。

しかし、日本のことを伝えると意外にも「日本のやり方が良いね!合理的だよね。」という反応がクラスメイトから返ってきました。ますますどちらがより良いのか分からなくなりました。ただ分かったのは、現時点での日本の履歴書は、世界的に見るとちょっと変わっているということです。

もしかすると、私が知らないだけで、既に海外の様な履歴書の書き方をさせる企業は日本にも沢山あるのかもしれませんが、日本もこれから変わっていくのでしょうか。