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賛燦山76 非認知能力

 先週の「早期教育を考える」の中で、あらためて「非認知能力」の育成の大切さを感じました。2月18日(日)の読売新聞「あすへの考」で、この能力のことを取り上げた記事があったのを思い出したので、注目してみます。

 昨年5月に来日した経済協力開発機構(OECD)のシュライヒャー教育・スキル局長は、記者会見でこんなことを語ったそうです。

◎OECDの報告書「教育はテクノロジーとの競争に負けるのか?」

・読解力や数的思考力のテストをAIと人間が受けた場合、2026年にはAIが人間を上回ると予測。

★シュライヒャー局長の発言

・「分かりきった答えを教えるだけの授業では、生徒は二流のロボットにしかなれない」

・「成功に必要なのは、知識をつけることではなく、アイデアを積極的に自分から出していこうとする態度だ」

・「今の(教育)制度は、創造性の芽をつんでいる」

・挑戦する力や失敗を恐れない態度などの能力を伸ばす必要性を訴えた。

 

★脱・知識量の流れ

・日本では長年、「学力とは知識量」と言う考え方が主流。

 年表を丸暗記しなければ解けない入試問題はその典型。

 高度経済成長以降、「有名大学に入り、大企業に入社すれば一生安泰」という価値観。

 受験競争に駆り立てられた子どもたちが知識の詰め込みに明け暮れる。

 

・1970~80年代には校内暴力や不登校が深刻化。

 知識量を追求するだけの勉強は子どもたちからの学習意欲を奪う。

・1984年、首相直属の「臨時教育審議会」を設置。知識偏重教育の見直し。

 一斉に同じことを教える教育から、子どもが自分の意欲に沿って学ぶ教育への転換。

 

★学習指導要領と学力観の変遷

・1992年度「新学力観」提唱 関心・意欲・態度を重視。

・2002年度「生きる力」提示 「総合的な学習の時間」の導入、学力低下の懸念

・2003年 国際学習到達度調査(PISA)  「読解力」8位→14位、学力向上への圧力強化。

・2011年度 「PISA型学力」採用 思考力・判断力・表現力重視 

・2020年度(現行) 学校で身につけるべき学力「実社会でも通用する力(資質・能力)」。従来の「知識・技能」と「思考力・判断力・表現力」に加え、「学びに向かう力・人間性」も明示。

 

★現代に必要な力

・現代は予測不能な時代(デジタル化による産業構造の変化、気候変動による災害の激甚化)

・「かつては課題に取り組む勤勉さが重視されたが、今は挑戦し、人と関わりながら新しいものを生み出すような非認知的能力を育てる必要がある」(小村俊平氏・ベネッセ教育総合研究所)

・「探求活動」の重視。答えのない問いに対し、自らの課題を設定し、探求し、解決策を提示。

・OECDは2019年、「非認知能力」に関する大規模調査実施。(9か国10都市対象)

「好奇心」や「創造性」などを調査。教員との関係が良好だと「非認知能力」が高い。

・日本でもこの能力の育成に積極的な自治体出現。(埼玉県戸田市、岡山県、群馬県など)

 

 非認知能力は、広い心(好奇心・創造性)、誠実性(責任感、ねばり強さ)、外向性(社会性、積極性)、協調性(共感、協同)、感情抑制(ストレス感性、感情コントロール)などが示されていますが、どれも大事な「生きる力」だと思いませんか?

 「知識偏重」に陥ることなく、家庭も学校も社会も重視してほしいですね。