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No弐-962  森林貴彦監督から学ぶ2

 今日は、11月12日(日)の日本経済新聞 「直言」にあった、この夏の甲子園で107年ぶりの全国優勝に導いた慶應義塾高の森林貴彦監督のインタビュー記事に注目します。

 森林監督については、5年前No36(2018年8月1日)で紹介しました。幼稚部(小学校)の先生が甲子園の監督だったからです。

・「小学生と高校生を同じ日に見られるのは、僕だけにしかできない経験です。面白いですよ。高校生は大人に近いと感じることもあるし、小学生とほとんど変わらないなと思うこともある。例えば体力や論理性や計画性は、大人に近い。

 一方、うまくいかないと気分的にダメになっちゃうところとかは、小学生と変わらない。高校生は子供と大人のまさに『間』。その『間』で揺れ動いているというのは痛感しますね。そんな見方ができる高校野球の監督はなかなかいないし、貴重だと思っています」

・平日は小学校の授業の合間に、漢字テストの採点とともに練習メニューを考え、13人の学生コーチを含めた19人のスタッフにLINEで送信。

・放課後は約1時間、3時までドロケーやドッジボールに付き合い、地下鉄に乗り込む。

・広尾駅から日吉駅まで約25分間の移動で、高校野球モードにスイッチを切り替える。

 

★森林監督の名言

・チームの決め事を守り、人と同じことをするだけでは人生、面白くない。

・ますます価値観が多様化し、自分なりの幸せを選び取る時代になる。これをやりたい、自分にとってこれが正しいと判断する感覚を野球で養ってほしい。

・言葉には気を使っている。同じ言葉ばかりだと、選手はまたかよと言う顔をするので、新鮮な言葉がないか試合中に考える。

・ミーティングでだらだらしゃべりたくないので、試合ごとに四字熟語でテーマを伝える。

「徹頭徹尾」、「勇往邁進」、「大願成就(甲子園決勝時)」

 

◎「全力でがんばるな」「勝負事でしゃかりきになってはいけない」(大学院での研究成果)

 100%の力で走った時に最高の速度が出るわけではない。

 8割の力で走ると9割の速度が出る。

 投球も全力で投げるより、少し力を落とす方が球速も出て、制球が定まる。

 

・エラーした野手や失点した投手が、取り返そうと思うのはよくない。

 それで取り返せるなら、そんな簡単なことはない。

 過去は切り捨て、未来を向いて今やれることをやる。

・高校で完成する必要はなく、数年後にいい選手になってくれたらいい。

 

★先生として

・小学3年生を教えているが、無力を痛感するばかり。

 漢字、筆算、九九・・・。できたかなと思った次の日に子どもはできなくなる。

 一方、教えたこともないことを、いつのまにかできるようになっている。

・僕がいる意味があるのかな、と日々自問する。

・忍耐強く(成長を)待つ点で、野球の指導者としてもいいトレーニングになっている。

 

★これからの高校野球

・高校野球には堅苦しい部分、個性や自由が認めづらい部分がある。

・親の負担も大きく、(子どもに)野球が選ばれにくくなっている。

・甲子園は盛り上がっているようにみえて、全国の野球部や部員の数は減っている。

・このままの形で続かない。

・高校野球はスポーツの枠を超えて文化として定着し、我々が変われば人の育成方法なども変わるきっかけになるかも知れない。社会的意義は大きい。

 

・問題は髪型そのものより(無思慮に前例に従う)思考停止、旧態依然、上位解脱の部分。

・野球がどういう人材社会に送り出せるか、野球型の思考が今後の社会にどうマッチするのかを考えると、危機感を覚える。

 

・勝つために手段を選ばないといった思考が、高校生以下の世代でも、ゆがみを出している。

◎「成長至上主義」 ただただ勝利を目指して頑張ろう、ではなくて、一人ひとりが人間的に成長し、周りも成長させる。

・選手としての成長、人間としての成長が車の両輪となったら強い。それによって、勝利にも近づくのではないか。

 

・選手に成長を求める以上、自分自身が成長するマインドを持っていなければ。

・現状維持でいい、となったときは退場すべきだと思っている。

 

 インタビュアーは「青春まっただ中の高校生であっても野球がすべてであってはいけないと考える監督は幅広い分野の話を聞く機会を設け、あえて寄り道をし、様々な価値観に触れることで心の柔軟性が養われているようだ」とまとめています。

 

 がるべるもこれからもできるだけ身近で幅広い分野の話を聞く機会を設け、心の柔軟性を一緒に養っていきたいです。