阪神タイガースを38年ぶりの日本一に導いた岡田監督の「アレ」や「おーん」といった言い回しが人気を集めたのはご存知かと思います。
今日は、先週11月10日(金)朝日新聞にこれらの言葉の使い方やもたらす効果を科学的に調べた記事が面白かったので紹介します。
★「アレ」 英イーストアングリア大の研究
◎すべての言語に「あれ」と「これ」を表す単語があるらしい。(論文発表、10月30日)
・空間や時間のなかで特定のものをさす「これ」「この」といった言葉(指示詞)はなじみ深い単語だが、文化や地域が変われば、言語を指し示す範囲や空間が大きく変化するのではないか?
・研究チームは指示詞と対象物までの距離に着目。
◎奥域3mの机の上に置いた対象物を「これ(この)」や「あれ(あの)」などのどんな言葉を使って表現するのか?(調査対象 29言語を母語にする874人)
◎結果・29言語全てで、近いものを「これ」、より遠くに置かれた物を「あれ」と区別して呼んだ。
・自分から50㎝程度までの「手の届く範囲」を「これ」と表現する傾向がある。
・世界にある計約7000の言語に普遍的な特徴だろう。
・意中のものを「これ」と呼べるか、「あれ」にとどまるかの使い分けは、単に手が届くかだけではなく、ものを動かしたり、影響を及ぼしたりできるかが重要なポイント。
・「アレ」がしっくり来たのは、ファンの心理にも阪神優勝までの長い道のりが共有されていたからかもしれない。
・「これまで届かなかったが、手を伸ばし続けた目標を『アレ』と呼んだのは極めて適切」(コベントリー教授)
★「おーん」 音声分析
・鈴木創所長(日本音響研究所)は、9月13日(リーグ優勝前)の巨人戦後の監督インタビューを分析。
・「アレ(優勝)に向けて明日はいかがでしょう」
→「えー、明日は誰だ、才木(投手)か。(1秒ほどかみしめるように)おーん。まあ、力み倒すだろうなあ」
・音波の周波数スペクトルを調べると、発音記号の「O」にあたる「とてもきれいで平均的な『お』」に該当。
・声紋は、安定した横しま模様。音引き記号を使って「―」で表すのが妥当。
・「話をまとめたり、オチをつけたりするときに『おーん』は使われている。
波形を見ると音量は少し小さく、刺激も弱いが、寂しい間を埋めてくれるBGMのようなところがある。心地よい安心感がある。」
単に距離ではなく、届かぬ思いの「アレ」が共感をよんだのでしょうね。
「おーん」も優勝に導いてくれたからファンには心地よく感じられたのでしょう。逆に負けが続いていたら、「なに、のんきなこと言ってんだ!」と言われていたかもしれませんよね。
私は「力み倒す」の方にセンスを感じましたが。
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