名古屋に行ってきました。9月30日(土)の日本経済新聞の「文化」欄にあった福田美蘭さんの個展の紹介が目に留まり、1泊で出かけてきました。
★福田 美蘭さん(60) Wikipediaより
・日本の現代美術家。・東京都世田谷区出身。
・父はグラフィックデザイナーの福田繁雄、祖父は童画家の林義雄。
・1987年東京芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻油画修了。
・1988年ギャルリーユマニテ東京にて初個展を開催。
・1988年10月から朝日新聞(夕刊)連載小説、赤川次郎『人形たちの椅子』の挿絵担当。
・1989年には「第32回安井賞展」において、当時史上最年少の26歳で同賞を受賞。
・過去の名画にデジタル加工するなど手を加えたり、食材など身の回りの素材を組み合わせたりした作品が多い。
・名古屋市美術館で開かれている個展「福田美蘭―美術って、なに?」で新作を発表。
★福田美蘭の魅力
・近代以降の絵画は、オリジナルな表現への情熱に突き動かされ、色彩や筆遣い、構成を独自に追究し、オリジナルな表現に到達しようとするが、固有の表現をまさぐるように追究する絵画に、30年以上前、自ら疑問符を投げかけた。
・色や筆遣いなどの主観的な要素だけ追究しても、その絵を鑑賞する人に開かれた共通の視点は、持ち得ないのではないか。
・新たな絵画制作への足掛かりにしたのは、複製図版などを通して多くの人が目にする古今東西の名画や名作、そこにメディアが流す報道写真や映像である。
・その流布するイメージをベースに捉え、新たな視点で描き直すことで、我々が見過ごしていたものの見方を、意表を突くように提示する。
★「プーチン大統領の肖像」
・一見、カリカチュア(風刺画)かのようにも見えるが、画家には別の意図があった。
・鼻はモディリアーニの絵のように長くデフォルメされ、その肖像画に特徴的な、目に瞳を描かない描写を試みている。
・感情を押し殺したモデルの表情は、新たな東西対立が進む現代の複雑さを象徴している。
★「名所江戸百景 深川洲崎十万坪」
・浮世絵の名匠、歌川広重晩年の名所絵シリーズの傑作を題材。
・元の絵は、しんしんと雪が降り積もる埋め立て地を上空から鳥瞰する大胆な構図が話題となる作品。
・画家は、この絵の猛禽類が狙っている左下の早桶(粗末な棺桶)の存在を教えられて、絵の印象がガラッと変わり、その驚きを作品にした。
・鷲が人間の死肉を狙い苛烈な画像から連想したのは、ロシアに侵攻されたウクライナでの人々の埋葬の情景だった。
・筑波山から下を黄色に変えているのはウクライナの青と黄色の国旗のイメージを重ねたからだ。
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