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No弐-939  栗山監督が選んだ名言から学ぶ2  

 スポーツニッポンにある栗山英樹さんの「自然からのたより」が6月から連載されています。栗山さんが選んだ名言を紹介します。今日は第3回と第4回からです。

 

③森林が水を育み 水が生命を育む(8月29日)

★「上善は水の如し 水はよく万物を利して争わず 衆人の恵む所に処る」(老子)

・最高の生き方とは水のような生き方である。

・水は万物を助け、育て、誰と争うことなく形を変え、自らは低い方へ自然に流れ、そこに身を置く。

 

・人を生かすためには水のようでなければいけない。

・指導者としては、相手に合わせてどんな形にも変化する水になる必要がある。(巨人V9の川上哲治監督が岐阜の禅寺で修行した時に説かれた言葉) 

・応用力と柔軟性は指導の原理原則。

 

◎ホタル

・発光することで知られる昆虫。

・ホタルの名は「火(ホ)を垂る(タル)」、つまり「火を垂れる」からきている。

・光らない種も多い。北海道で成虫が発光するのはヘイケボタルだけ。

・日本のホタルは一般的にはゲンジボタル。本州、四国、九州に棲息。

 

★きれいな水

・ホタルは美しい水が命だが、開発による環境改変、河川の汚れ、餌となる貝類の減少で、見られる地域がどんどん減っている。

・古代文明は森林が減少したことで衰退した例がある。

・森林がなくなれば、きれいな水も失われる。

・自然環境との向き合い方が問われている気がする。

・次の世代にどう残していくのか。

 

④秋の虫の声のように子供たちの遊ぶ声も心地いい。(9月29日)

★「受け入れる心になるまで 音楽も意味のない騒音にすぎない」(パウル・ヒンデミット)

・音楽も、秋の虫たちの鳴き声も、心地いいかどうかは受け手次第ということ。

・人によっては耳障りな音になるかもしれない。

・聞くものの心によっては、心地よくも不快にも感じる。

 

◎パウル・ヒンデミット

・ドイツの音楽家、作曲家、さまざまな楽器(ビオラ、バイオリン、クラリネット、ピアノなど)を弾きこなす多彩な演奏家としても知られる。

・1900年代前半にバイオリン奏者として音楽家としてのキャリアをスタート。

・戦後に演奏活動とともに多くの作曲(600曲)を手掛けた。(交響曲、オペラ、オーケストラを構成するほぼすべての楽器のためのソナタを作曲)

・新即物主義や新古典主義などの作品で、20世紀のクラッシック音楽界に多大な影響を及ぼした。

 

★子供たちの遊ぶ声

・子供たちが楽しそうに遊ぶ声は、大人たちにどのように聞こえているのだろうか。

・外で身体を思い切り動かすことは子供たちの一つの仕事。

・身体を精一杯使うことで、頭も心も整え、身体を強くしてくれる。

・思えば子供の頃は大人たちが優しく見守り、地域で子供たちを育てていた。それが日本の伝統。

・最近では、子どもたちの遊ぶ声に苦情が寄せられていると聞く。

 

・WBCが終わってから、本当に大切なものは何なのかを自分に問いかける瞬間が凄くあった。 

・サンテグジュペリの「星の王子さま」の中に「大切なことは目に見えない」とある。

・秋の虫の声を心地よく聞き、子供たちの遊ぶ声の大切さを改めて感じた。

・次の世代に向かって元気に走り回り、子供たちが未来を作ってくれる。

・そう心に感じて聞けば、彼らの遊ぶ声は秋の虫たちの音色のように心地いい。

 

 公園だけでなく、学校の校庭にも子どもたちの遊ぶ声があふれて欲しい。

 「人を生かすためには水のようでなければいけない」を肝に銘じて、「応用力」と「柔軟性」を意識して指導にあたりたいですね。