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No弐-917  バスケの監督から学ぶ2 

 昨晩、杭州アジア大会、バスケットボール女子決勝をご覧になりましたか?

 決勝で中国と対戦し、72―74で敗れました。「惜敗」ってやはり悔しさが残りますが、昨日一番印象に残ったのは、恩塚亨HCでした。こんなに笑顔の指導者っていたでしょうか?

 昨年No弐-426(2022年5月27日)で、女子日本代表を率いることになった恩塚HCを取り上げました。「〝不機嫌な鬼コーチ〟気づいた失敗」と言う朝日新聞の見出しが目に留まったからです。ふり返ってみます。

 

★恩塚HCの履歴

・大分県出身。高校時代は県大会決勝で敗戦。筑波大卒業までプレー。

・2006年、東京医療保健大に新設されたばかりの女子バスケットボール監督就任。

・2012年、全日本選手権(インカレ)初出場。2017年日本一。2019年3連覇。

・2017年から女子日本代表コーチ兼任。昨夏東京五輪銀メダル獲得に貢献。

・五輪終了後、代表ヘッドコーチ(監督)に昇格。

 

★指導者としての道を歩み始めた頃

・大学卒業後、寝る間も惜しんでバスケットの戦術や練習法を学ぶ。

・勝ちたいなら厳しくても当たり前、一流の指導者は大体不機嫌、泣きごとを言うなら練習しろ!俺がこれだけ頑張ってるんだから、お前たちもやれよ!

・戦術を徹底させようとすればするほど、選手の粗を指摘するスタイルになり、それが愛情だとさえ思っていた。

・戦略通りに動けない、集中力が散漫な選手がいると、イライラを隠すことなくぶつけ、練習ではコートを往復する罰走を何度も科した。

 

★転機

・インカレ3連覇達成で誇らしいはずの表彰式で顔を引きつらせている3年生が目につく。なぜ喜ばないのか? 勝利へのプレッシャー。来季も勝てるのか?

・もやもやした気持ちを抱えている間に、コロナの感染が広がり、バスケット部の活動中止。

・読書に没頭。心理学、経営学、哲学、脳科学、子育てに関するノウハウ本、800冊以上。

★気づいたこと

・人は萎縮すればするほど視野が狭くなり、動きも堅くなる。

・選手のパフォーマンスを落としているのは、不機嫌な自分の態度。

 

★指導法の大きな変化

・コートに怒号が響くことはなくなる。選手には笑顔を向ける。

・目標は「タイトル」や「数字」ではなく、「どんな自分になりたいか」。

 

★「指導者」としての心構え

・選手を頑張らせるのではなく、頑張りたくなるような環境・心境に導いてあげるのが指導者の仕事。

 

 他にもネットからこんな言葉が印象に残りました。

★3つが揃って、初めて力を発揮する(NumberWeb)

①ワクワクと夢を抱くこと。

②効果的な方法を理解すること。

③自分ならできると自信を持つこと。

 

★選手がその気になり、自信を持ってトライしたくなるコーチング3つのポイント(NIKKEIリスキング)

①プレーで失敗した後は、「どうだった?」と気軽に聞きながら、選手に合ったモチベーションを上げる言葉を探る。

②各選手と「淀みなく」接する。

③相手に好かれたいと、きれいごとばかりを言っても見透かされてしまうので、「自然体」で対話する。

 

 自分の教室に「頑張りたくなる環境・心境」があるでしょうか?

「ワクワク」「効果的な方法」「自信」は、自分の指導を振り返る視点になります。

 子どもへの日頃の言葉かけも「コーチングの3つのポイント」が役に立つかもしれませんね。   

 今日もどの子にも淀みなく接することができていたら、ステキです。