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No弐-914 2022年度文化庁・国語世論調査

  先週9月30日(土)に令和4(2022)年度の「国語に関する世論調査」の結果が各紙に載っていました。

◎調査 期間(令和5年1~3月)、対象(全国16歳以上)、3547人回答。

 

★5つの言葉(既存の言葉を使った短い言い方で、新しい意味や使い方が辞書に記載さ

れてきたもの)

①「寒い」(冗談などがつまらない)、②「盛る」(より良く見せようとする)、③「引く」(異様だと感じてあきれる)、④「詰んだ」(どうしようもなくなった)、⑤「推し」(気に入って応援している人や物)

 

◎使うことがあるか?

「引く」(70.0%)「盛る」(53.3%)「寒い」(50.2%)「推し」(49.8%)「詰んだ」(30.5%)

<年齢別>

・どの言い方も60 代以上では、「使うことがある」人の割合が、他の年齢層より低い傾向。

・「推し」「詰んだ」は、年齢が上がるに従って割合が低い。

 

◎ほかの人が使うのが気にならないか?

「引く」(83.4%)「推し」(82.1%)「盛る」(80.6%)「寒い」(78.7%)「詰んだ」(66.5%)

<年齢別>

・どの言い方も年齢が上がるに従って「気にならない」を選択した人の割合が低くなる傾向。

・特に 70 歳以上は、ほかの年齢層より低くなる傾向。

 

◎全体の結果考察

・「使うことがある」を選択した人の割合が高い言葉ほど、「気にならない」を選択した人の割合が高くなる傾向。

・どの言葉も、「使うことがある」の割合より「気にならない」の割合の方が高い。

・年齢別の結果も「使うことがある」の割合が高い年齢層ほど、「気にならない」の割合が高くなる傾向。 ・SNSの普及もあり、新しい表現が早く広まったのではないか。

 

★5つの慣用句

①「涼しい顔をする」

〇関係があるのに知らんぷりする(22.9%) ×大変な状況でも平気そうにする(61.0%)

 

②「忸怩(じくじ)たる思い」

〇恥じるような思い(33.5%) ×残念で、もどかしい思い(52.6%)

 

③「情けは人のためならず」

〇人に情けを掛けておくと、巡り巡って結局は自分のためになる(46.2%)

×人に情けを掛けて助けることは、結局人のためにならない(47.7%)

 

④「雨模様」

〇雨が降りそうな様子(37.1%) ×小雨が降ったりやんだりしている様子(49.4%)

 

⑤「号泣する」

〇大声をあげて泣く(30.3%) ×激しく泣く(42.1%)

 

★アルファベットの略語

AED(自動体外式除細動器)、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、DX(デジタルトランスフォーメーション)等

①意味が分からずに困ることがあるか?

「よくある」(31.4%)「時々ある」(53.7%)計85.1% 

「余りない」(12.0%)「全くない」(1.9%)計13.9% 

<年齢別>おおむね年齢が上がるに従って、困ることがある割合が高くなる傾向。

 

②アルファベットの略語が用いられている状況を好ましいと感じるか?

「好ましい」(3.8%)「どちらかと言うと好ましい」(41.3%)計 45.1%

「どちらかと言うと好ましくない」(47.8%)「好ましくない」(6.5%)計 54.3%

・「好ましいと感じる(計)」の割合を年齢別に見ると、年齢による差が大きく、年齢が上がるに従って、割合が低くなっている。

・好ましいと感じる理由は、「短く省略した方が使いやすいから」(77.9%)が最も高く、次いで「社会で広く使われている言葉だから」(54.6%)、「ほかの言葉ではその意味を表しにくいから」(40.2%)。

・好ましくないと感じる理由は、「意味が分かりにくいから」(94.2%)、次いで「見慣れない言葉だから」(31.1%)、「漢字や仮名の言葉を使った方がいいから」(29.5%)。

 

 いかがでしたか?毎年この調査結果を見て、ヒヤッとすることを見つけます。

「詰んだ」は使ったことがありません。「情けは人のためならず」は勘違いしてました。AEDは知っていても正式な言葉は言えませんでした。授業のまくらに使えそうですね。