昨日の朝日新聞の「時時刻刻」にあった「アーバンベアの驚異」の記事が面白かったので紹介します。
「アーバンベア」とは、「都市近郊で生まれ育ったクマ」のことです。
「197万人が暮らす札幌市では、アーバンベアが恒常的に市街地に現れる脅威が年々高まっている」のをご存じでしたか?
★ヒグマの生態
・視力(昼夜問わず行動) ・臭覚(数10m先の臭いもかぎつける) ・聴覚(音に敏感)
・走力(時速50㎞) ・大半は警戒心が強く、人を避けて生活。
★札幌市のヒグマ出没
・2000年代からヒグマ市街地に出没。
・2020年代には恒常化。内部侵入も目立つようになる。
・2021年、東区の住宅地にヒグマが出没し、4人が負傷。
・2022年3月、三角山(札幌駅から西へ6㎞)、冬眠穴調査中の男性2人が襲われる。
・2023年深刻化。7月末時点で133件出没。(過去10年で最多ペース)
・全国の出没件数は7967件。人的被害57件。(過去最悪ペース)
・★OSO(オソ)18
・北海道東部で放牧中の牛66頭を襲ったオスのヒグマのコードネーム
・近年まれに見る大型の雄で、2019年7月に初めて乳牛が襲われた標茶(しべちゃ)町下オソツベツの地名と、前脚の跡の巨大さ(幅18センチ)にちなんで、関係者はこう呼んだ。
・事故で死んだ牛を食べ、味を覚えてしまったのではないかと分析。
・今年7月30日、釧路町で駆除。駆除時の体長2.1m、推定体重330㎏。
★特徴
・同じ個体が繰り返し出没。複数のグループが同時出没。
・都市近郊で生まれ育つことで、人を見ても逃げない個体が育っている傾向。
★背景
・過疎化に伴う里山の荒廃、耕作放棄地の増加で丘陵地の茂みが市街地に迫り、クマの分布域が拡大。
・田畑へ放棄された生ごみ、放置された柿や栗などが人里に引き寄せる。
・道内は人口減少や高齢化が加速し、農業や狩猟人口も減少。市街地周辺の農地で活動する人が減り、人を恐れなくなったヒグマが住宅地付近に生息地を広げる。
★ヒグマ政策の見直し
・北海道の推定生息数 5200頭(30年前)→1万1700頭(2020) 倍増
・増加の要因は、「春グマ駆除」の禁止(1989) 北海道では80年代まではヒグマによる人的被害や農業被害を防ごうと、追跡しやすい3~5月の残雪期に積極的な駆除を進めたが、個体数の減少に危機感を強めた道が方向転換した。
・それから30年余り、ヒグマの駆除には批判もあるが、人を恐れなくなったヒグマが相次いで出没し、市民生活を脅かす事態になり、ヒグマ政策を見直しに踏み切ろうとしている。
・今年から人里に隣接する地域での残雪期の駆除を認める。
・禁止してきた冬眠中の個体を捕殺する「穴狩り」を地域に限って認める。
★対策
・クマが執着すると、夜間の行動が活発になる傾向。
・ゴミやペットフード、干物、漬物、家庭菜園の作物などを野外に放置しない。
・道路や家、農地の周辺で草刈り行い、クマが身を隠す場所を取り除く。
・自治体は、対策を担う人材の確保、継続的な監視体制。
★ゾーニング
・今年7月、ヒグマの会(学者や農家らが参加)はヒグマと人間双方の暮らしを守る「ゾーニング」管理強化による共存策を知事に求めた。
・ヒグマが暮らす奥山を保全しつつ、人間が暮らす市街地との間にある森林を緩衝地帯と位置付ける。
・緩衝地帯での駆除を認めることでヒグマの生息数を抑える。
・人間の生活圏にヒグマを侵入させない誘因物対策。侵入時の駆除の徹底。
共存するには、「ゾーン」を作って生活するしかないと思うのですが、実際には、専門職員は不足し、道内の狩猟免許所持者数も約3分の1に減少し、高齢化。
ロシアによるウクライナ侵攻や銅の高騰で銃弾も不足しているんだそうです。
今秋、東北地方ではドングリの凶作が予想され、腹をすかせたクマの出没が増える恐れがあるんだそうです。
もし皆さんの家の庭にクマがいたらどうしますか?子どもたちと一緒に考えてみたいですね。
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