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No 弐-902  教員志願者の減少

 昨日の朝日新聞に本社の全国調査で今年度の教員志願者が減少している記事が目に留ま

りました。

・2024 年度公立学校教員採用試験志願者は全国で計 12 万 7855 人。前年度から 6061 人

(4.5%)減。

・採用試験を行う 38 機関(56%)で、志願者数がこの 5 年間で最低。

・この 38 機関ののうち、24 機関はこの 5 年に限らず把握できた範囲で過去最低。

・34 機関(50%)は、志願者数を定員で割った倍率もこの 5 年で最低。

 

◎志願者が 200 人以上減った自治体

・400 人以上(2) 神奈川県、大阪府、

・300 人以上(6) 福岡県、千葉県、愛知県、埼玉県、高知県、兵庫県

・200 人以上(6) 岡山県、静岡県、茨城県、熊本県、佐賀県、鹿児島県、

 

◎志願者が減った理由(選択肢から複数回答可)

・「教員の長時間労働などの問題が知られ、大学生から教職が敬遠されている」(30 機関、

最多)

・「教員以外の業種拡大による競争激化」(29 機関)

・「減少傾向にない」(6 機関)

 

◎志願者が増えた自治体

・100 人以上(7) 奈良県、島根県、鳥取県、北海道、沖縄県、大分県、さいたま市

・東京都(9465 人)全国最多、12 年ぶりの増加。

・さいたま市、浜松市 現行の試験方式になってから最多。

 

◎各自治体の工夫

・さいたま市 前年度から 100 人増。選考区分は 15 種。大学や研究機関での研究経験があ

り、教員免許を持たない人を対象にした 1 次試験免除枠を設ける。

・埼玉県、山口県 今年から教員免許がなくても受けられる試験開始。(民間企業などで 5

年以上正規勤者対象、合格者は 2 年間の猶予期間中に教員免許を取得すれば教壇に立てる)

山口県は免許取得のための学費補助(26 万円上限)。定員 5 人に対し 57 人の志願者(倍

率 11.4 倍)

・東京都 今年初めて 3 年生向けの試験を実施。(1 次の筆記試験の一部を受けて合格する

と 4 年次の試験で免除)、2540 人受験。

・横浜市 大学推薦による 1 次試験免除。今年から 3 年生も対象。合否は 10 月に民間企業

の多くが内定を出すよりも早く伝える。

・新潟県 教科に関する出題範囲 5 教科(国・社・算・理科・英)→2 教科(国・算)

 

◎免許取得の負担軽減

・2 種免許を取れる過程を 4 年生大学にも設置。2025 年から新設可能になる方向。

 

◎岩田康之教授(東京学芸大・教師教育)の話

・各地で始まっている採用試験の一部免除や出題範囲の縮小は、志願者確保の面でメリット

があるが、乱用すると基礎学力が不足した学生が教員になって教育の質が低下する恐れも

あり、注意が必要。

・そもそも長時間労働の実態が知られた影響が大きい。

・増加に向けた根本的な策としては、働き方改革を目に見える形で進めること。

・給与など待遇面の改善、正規教員の増員が必要。

 

 「一人でも多くの子を伸ばす」みんなが同じ方向に集中できる環境、魅力的な職場が増え

ることが志願者を増やすカギではないかしら?

 そんな熱い管理職の話がたくさん聞かれるようになるといいのですが。