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No弐-867 味覚

 今日の読売新聞「ニュースの門」は、「味覚」を取り上げていました。

新型コロナウイルス感染症で、味覚障害が自覚症状の一つとして注目されました。

★味覚と臭覚の密接な関係

・味覚障害を訴える患者101人の9割以上が「においがわからない」の臭覚の異常を感じた。(陽性者251人対象、厚労省)

・味覚障害の自覚する人の7割は、味覚を感じる機能は正常。

・「ウイルス感染に伴う鼻の奥の炎症などによる臭覚の異常が、味を感じにくくさせた可能性が高い」(三輪高喜教授、金沢医科大)

 

★味覚・臭覚・視覚の関係(小早川達・研究員、産業技術総合研究所)

・味と光、においと光は別々に認識できたが、味とにおいは感じ分けにくい。

・味とにおいを一体的に感じて「風味」と認識している可能性がある。

 

★味の異変

・味がおかしいと感じる原因は、臭覚障害のほかにも、ビタミンや亜鉛の欠乏、加齢、心理的な負担などが複雑に絡み合っている。

・味の異変は病気発症のサインとしても注目されている。

・「パーキンソン病」は、初期症状として味の感じ方に変化が起きる。

 

★味を感じる仕組み

・味が、舌にある「味蕾(みらい)」と呼ばれるつぼみのような形の小さな器官のセンサーで感じている。

・ショ糖なら「甘味」、グルタミン酸なら「うま味」のセンサーが反応する。

・「基本五味(甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)」の情報が脳に伝わり、味を認識している。

 

★味の創造

①エレキソルト(キリンホールディングス)

・微弱な電流で減塩食の塩味を最大1.5倍強く感じられる食器「エレキソルト」を開発し、今年末販売。スプーン型とおわん型。

・おわんやスプーンが口に触れると、流れる電流の働きで、塩味を感じる「ナトリウムイオン」が舌のセンサー周辺に集まり、摂取した塩分が少なくても塩味を堪能できる。

 

②生成AIを組み込んだ装置(明治大、宮下芳明教授)

・利用者が「綿雲の味」「深海魚の味」などと、食べたこともない味をリクエストすると、基本五味など20種類の味の最適な組み合わせを提示。

・既存のレジピを超え、思いもよらない新たな味を考え出してくれる可能性。

 

★鳥や動物の味覚

・鳥の多くは、甘味センサーに関する遺伝子を失っているが、花の蜜を主食にするハチドリは、うま味センサーで、甘味をキャッチできるように進化。

・ムクドリなどの「猛禽類」は、糖類をエネルギー源に長距離を飛べるようになって繁栄。

・コアラは、主食のユーカリの葉に含まれる毒を苦味として感じることができるので、毒が少なく、食べやすいものの選別が可能。苦味センサーを他の哺乳類よりも多く持っている。

 

 そういえば、苦手なものを食べる時、鼻をつまんだ経験ありませんか?脱脂粉乳を思い出しました。「味覚」は絶対に失いたくないですね。