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No弐-847 ヨナ抜き音階

 先週7月22日(土)、日本経済新聞「プラス1」の「くらし探検隊」は、「ヨナ抜き音階」についてでした。

・米津玄師さんや星野源さんら次々とヒット曲を生むアーティストたちの一部の曲の共通点には古くから日本人に愛されている「ヨナ抜き音階」がある。

・「この曲はどこか懐かしい気持ちになる」―。公開中の宮崎駿監督の映画「君たちはどう生きるか」の主題歌、米津玄師さんの「地球儀」がSNSなどで話題になっている。

 

★ヨナ抜き音階

・5音で構成する音階。ファとシを使わない。

(「ドレミファソラシド」は明治時代は「ヒフミヨイムナ」と呼んでいた。

 「ヨ」は4番目の音「ファ」、「ナ」は7番目の音「シ」)

・分かりやすいメロディーで印象的。

・歌いやすく、色々なコード(和音)と合うので多くの人に支持されやすい。

 

★ヨナ抜き音階を活用している曲の例

「にんじゃりばんばん」(きゃりーぱみゅぱみゅ)、「Lemon」(米津玄師)、「レーザービーム」(Perfume)、「恋するフォーチュンクッキー」(AKB48)

 

★音の研究 

・古代ギリシャの数学者、ピタゴラスは鍛冶屋の職人が使うハンマーの重さによって音が変わることに気づき、音が美しく響き合うメカニズムを探求し、音の高さを整数の比率で決める「ピタゴラス音律」を発見。

・アジアでも古くは中国の司馬遷の「史記」に音楽理論について触れられている部分がある。

 

・日本では、雅楽などで「五声・七声」という言葉が使われ、明治時代に西洋音楽で使う「scale」の訳語として、「音階」という言葉が定着した。

・もともと日本の音階は7音ではなく、5音が基本だった。

・明治時代に7音で構成される西洋音階「ドレミファソラシド」が輸入された時は当時の日本人にとって耳なじみのない音に聞こえ、楽譜通りに歌うことが難しかった。

・西洋音階との間で妥協して生まれ、昔から日本で使われてきたので、どこか懐かしく、記憶を刺激する旋律。

・ヨナ抜き音階は昔から民謡や童謡などによく使われている。

・「桃太郎」「赤とんぼ」「蛍の光」「上を向いて歩こう」「函館の女」・・・

 

・クラシック音楽の分野だと、ヨナ抜き音階はあまり登場しないし、学ぶ機会も少ない。

・ポピュラー音楽を勉強すると、ヨナ抜き音階は頻繁に出て来る。

・ギターの演奏などから入って、学んだという人は多い。

 

・近年はヤマハが開発した歌声合成ソフト「VOCALOID」を使い、パソコンで楽曲を作る人も増えている。

・ボカロなどの技術進歩に伴い、これまでにない速いテンポの曲も続々と登場している。

・テンポが速いと、細かく複雑な音程で歌うのが難しいのでヨナ抜き音階を活用する。

・5つの音でメロディーを作ることで、テンポの速い曲にも対応しやすくなる。

 

・デジタル化で音楽の作り方は急速に進化し、聴き手の好みも多様化している。

・これからもヒット曲のカギを握るのがヨナ抜き音階なのかは意見が分かれる。

 

 今度音階に注目して聴いてみようかしら?分かるかしら?