· 

No弐-839 早生まれを考える3

 明日から夏休みの学校が多いのでしょうか?お疲れ様でした。

 今日も朝日新聞「フォーラム」の「早生まれは損?」からです。

 日曜日に3回(7月2日・9日・16日)連載されましたが、今日は最終回・3回目(7月16日)の記事からです。海外の実態、教育現場や保護者ができることに注目しています。

 

★日本

・学校教育法により「満6歳に達した日の次の学年初め」に就学させることが義務づけられている。

・子どもや学校側は原則、4月1日生まれの子は、翌日の2日に生まれた子と同じ学年になることはない。

 

★インターナショナルスクール

・学年が9月に始まるセント・メリーズ・インターナショナルスクール(世田谷区)では、早生まれに相当する6~8月生まれの子どもは一つ下の学年に入ることが推奨されている。

「身体的な差が子どもにとって不利に働くケースが多い。同学年で遅い生まれ月の立場で入学するよりは、1学年下げた方が学力的にも向上し、リーダーにもなりやすい」(担当者)

 

・サンモール・インターナショナルスクール(横浜市)は、11月1日~翌年10月31日の間に生まれた子どもを同学年にすることが基本。

・教員の推薦や保護者の希望を踏まえ、もう1年、幼稚部で過ごすこともできる。

「幼稚部を卒業する間際に個々の子どもの発達状況をみる。強制的に就学させることはない」

 

・海外では子どもを公教育に入れるタイミングを選べる国も多い。

★英国

・通常8月末までに4歳を迎えた子どもは9月に小学校に入る。

・「もし子どもが学校に入る準備ができていない場合、遅らせることができる」と政府のホームページで案内されている。

・その場合、5歳を迎えた直後の12月末、3月末、8月末のいずれかの時期に入学する。

 

★米国

・多くの州で就学の運用が弾力的。

・オクラホマ州では、5歳以上の子どもを半日以上就学させると義務づけられているが、居住地域の教育長に申請することで入学を遅らせることができる。

 

★山下絢准教授(日本女子大・教育行政学)の話

・母親の教育意識が高いと、子どもが早生まれではない傾向があることをデータで明らかにした。

◎アンケート(統計数理研究所と大阪大の共同研究)の結果の分析

・「子どもの塾や家庭教師などに、生活を切り詰めても出費するのは当然である」

 「そう思わない」と答えた専業主婦の母親の子が早生まれの確率(約46%)

 「そう思う」と答えた場合は約6%で、大きな差があった。

・親の教育意識と生まれ月に関連がみられるということは、もともと社会経済的に恵まれた立場にある家庭が、子どもが有利な立場で競争に勝てるよう、生まれ月を考慮している可能性がある。

・階層の再生産にもつながっていると考えられる。

 

◎教育現場でできること

・低学年のうちは、習熟度別授業を実施しない方がいい。

 クラスが分けられることによって、子どもがその分野を不得意だと思い込み、自己肯定感の低下につながる恐れがある。

・小学1年の一定時期は、生まれ月に基づいてクラス編成してもいい。

生まれ月が近い子を集めたグループを作り、そこでリーダーの経験を積ませることは有効。

・クラス決めは、どの項目がどの程度考慮されているかは学校ごとに異なるが、生まれ月も重要な項目の一つになるといい。

 

◎保護者に伝えたいこと

・成長発達を長い目で見守りましょう。

・幼いうちに過度に競争的な環境に身を置かせないこと。

・目の前の短期的な達成目標を追わせないこと。

・集団の中で自信を失わせることがあれば、その子が活躍できるような別の集団に入れてみる。

・できることや工夫はたくさんある。

 

 いかがでしたか?私は「早生まれ」の不利を感じたことはありませんが、学校ではこういう視点も参考に指導にあたることは大事だなと思います。

「みんなちがって、みんないい」金子みすゞの詩がふと思い浮かびました。