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No弐-837 早生まれを考える1

 朝日新聞「フォーラム」は、「早生まれは損?」というテーマで、日曜日に3回(7月2日・9日・16日)連載されました。 私も早生まれなので、注目してみました。

 

★朝日新聞デジタルアンケート(2023年6月 158人回答)

◎学校での勉強やスポーツなどで「早生まれ」「年度初めの生まれは有利」と感じたことはあるか?

 「はい」(49%)、「いいえ」(40%)、「その他、わからない」(11%)

◎生まれるときに生まれ月が気になったか?(子どもや孫がいる) 

 「はい」(33%)、「いいえ」(35%)、「その他、わからない」(32%)

 

★山口慎太郎教授(東京大学大学院・労働経済学)の話

◎学力差

・3年前、「3月生まれの生徒が入学した高校の偏差値は、同じ学年の4月生まれより4.5低い」の研究発表が話題を呼んだ。

・埼玉県のある自治体のデータを用い、統計的な誤差を補正した上で4月生まれと3月生まれで入学した高校の偏差値を比べると、4.5の差があったが、学力差そのものは学年が上がるごとに縮まっていた。

・県内の公立小中学校に通う小4~中3延べ100万人超のデータを分析したところ、どの学年、どの教科でも、先に生まれた子ほど成績が良い傾向が見られたが、学年が上がるにつれて差は小さくなっていた。

 

◎非認知能力の伸ばす活動の不足

・「感情をコントロールする力」や「他人と良い関係を築く力」といった非認知能力の差が、学年が上がっても縮まらないことがポイントだった。

・中学3年の早生まれの生徒は、学習や読書の時間、通塾率がいずれも高いが、スポーツや外遊び、美術や音楽に費やす時間が少なかった。

・早生まれの子どもたちは、学力面では努力で差を縮めているが、非認知能力を伸ばすような活動が不足している。

 

・非認知能力の「誠実性」(一つの仕事をきちんとこなし、達成を目指す)は、大人になってからの労働収入と強い相関があると知られている。

・30~34歳の所得を比較した先行研究によると、早生まれのほうが約4%低い。

・非認知能力の伸ばす活動の不足が、大人になってからの所得差につながっている可能性がある。

 

・統計学的事実に基づいて考え、議論する訓練の機会が必要。

・子どもの発達に与える要因は様々で、その一つに生まれる月による差もあるということを教員養成課程や教員の研修などで位置づけ、指導にあたってほしい。

・差が大きい低学年のうちは、誕生月を考慮したクラス編成にすることも方法の一つ。

 

★保育園

・「早生まれの場合、保育園の入園申し込みに不利が生じる」と言われる。

・認定保育園では、大半の子が4月に入園するが、出産後2カ月間は産休中だったり、預かる条件が生後何カ月以上と定めている園が多かったりするため、2、3月生まれの子は4月入園に申し込めないことが多い。

・港区は2005年から「入園予約枠」を設けている。松本市も今年度から入園予約制度を導入。

 

・「入園後も早生まれの子の保育には課題がある」と専門家は言う。

・入園してからも、早生まれの子はケアが必要。

・1歳児クラスでは、ハイハイの子から走っている子まで発達の差が激しい。

・保育士が人手不足だと、月齢が低い子は高い子に比べてせかされがちになる。

 

明日に続く