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No弐-832  森本あんり学長から学ぶ

 今日も暑いですね。昨日は、高知県四万十市で今年最高の36.7℃を観測。世界の平均気温も17.18℃。連日、過去最高を更新しているそうです。お身体ご自愛ください。

 今日は先日、図書館で見つけた朝日新聞夕刊(6月23日)の記事からです。

「ああ言えば こう聞く」のコーナーにあった森本あんり学長(東京女子大・神学者)の「夢実現 若者に『スパイ』のススメ」のインタビュー記事が面白かったので紹介します。

 

★卒業式の式辞

・「私がこの大学の学生だった頃に体験」した国際交流会で、アメリカのパンケーキなど、多くの国の食文化を体験し、本当に幸運だったと語った。

・「これはチャットGPTに、卒業生向けの学長式辞を、面白いエピソードを入れて作ってください」と頼んでできたものだと種明かしした。

 

★生成AI

・インターネット上に存在する膨大な情報から、東京女子大の学長、若い頃のアメリカ留学経験、東女の学生が国際交流に関心を持っていることを瞬時にかき集め、この式辞を作ったのだろう。

・「あんり」という名前から、女性で卒業生と間違えたらしい。

 

・こうしたミスも今後の進歩で改善されていくだろう。

・一番の問題は、生成AIの作るエピソードがちっとも面白くなかったこと。

★面白い話とは?

・それを話す人が面白いと思っているから面白い。

・話し手の人格、個性と不可分。

 

★卒業生に伝えたこと

・デジタル化時代にあっては技術を学びつつも、コンピューターで置き換えることのできない人間になる。

・自分しか語ることができない言葉を持つよう、個性と人格を磨いてほしい。

 

★個性と人格

・いくらAIが進歩しても、AIに憧れる人はいない。

・もっともらしい知識だけが多くあったとしても、個性や人格が感じられないと、つまらないと思うはず。

・身体こそが人格には大事。

・ロボットは、知識だって機能だって原理的には無限に継ぎ足せる。

・寿命のある人は時間的にも空間的にも有限だからこそ、自分の限界を認識し、自意識が生まれる。

・人の人格は、有限性を感じながら決断し、行動に責任を取ることで成長する。

・人格を陶冶して真の独創性を発揮してほしい。

 

★リベラルアーツ

・自らの器を広げ、異なる意見と共存する方法を学ぶこと。

・専門の枠に閉じこもり、専門のコップにじゃんじゃん水を入れるのではなく、その器を大きくすることが大事。

・大学を卒業した時点では、器に水があまり溜まっていないかもしれないが、焦らなくてもいい。社会で学ぶうちに水はたまる。

・リベラルアーツは一生かかって学び長距離走。

 

★共存に必要な「寛容」とは?

・決して美徳ではなく、自分と異なる信念の持ち主、自分が否定的に評価するものをしぶしぶ受け入れること。

・人間であるからには、好き嫌い、これは困るっていうのは必ず出てくる。 

・敵はいつまでも敵であるかといえばそうではない。

・不愉快な隣人とも礼節をもってつきあううちに、仲良くなる可能性もある。

・周りのことはどうでもいいという無関心の態度では寛容は生まれない。

 

★スパイになれ

・スパイは、潜入した社会に完全に受け入れられなきゃいけない。

・自分の心の中には違う原理を隠し持っている。

・社会で受け入れられ、発言力がついたら若き日の理想を実現するチャンスがくる。

・苦手な人の懐に飛び込むうちに、違った面を発見し、人間像が立体的になることもある。

・時間をかけて考えを熟成し、理想を磨き、いつか夢を叶えてほしい。