今日は、朝日新聞の「新任教諭 増える退職」「目立つ精神疾患 09年度以降最多」という見出しが目に飛び込んできました。
全国の公立学校で、正規採用された新任教諭が1年以内にやめるケースが増えているという記事でした。
★東京都の実態
・2022年度に正規採用した公立の小中高校、特別支援学校などの新任教諭2429人のうち108人が今年3月までに辞めた。全体の4.4%(過去10年間で最高)
・退職理由の約4割が精神的な不調。
・転職などの「進路変更」を利用とする退職も多い。学習指導や保護者対応は苦労も多い。他の教員も多忙で悩みを打ち明けづらく、抱え込んでしまうケースもある。(都教委担当者)
★他県の実態
・三重県では22年度に新任教諭の8人(1.6%)が辞める。過去10年で最多。7人は精神疾患。
・栃木県では12人、広島市では8人が辞める。いずれも過去10年で最多。
★文科省の全国調査(2021)・分析・対策
・1年以内に辞めた新任教諭の数は増加傾向。計539人(1.61%)。
・精神疾患で辞めたのは104人→197人。過去最多。
・「新任教諭の退職増の原因ははっきりしていない」としている。
・分析1 増加する不登校への対応などの業務が複雑化、困難化している。
・分析2 近年、人数が多いベテラン層が大量退職するのと入れ替わる形で若手が増え、支援が不十分になっている可能性がある。
・今年度から、全教員が心の問題を相談できる体制を整える。
・メンタルヘルス対策を強化する自治体には財政支援する。
★新任教諭の実態
①関東地方の公立小学校に4月から勤務する20代男性教諭
・「教育実習の頃、この大変さは見えていなかった。知識として授業以外の実務が多いことは知っていたが、想像以上のギャップがあった」
・始業から子どもの下校までは授業や子どもへの対応で精いっぱい。
・その後も仕事は山積み。保護者名簿づくり、掲示物の作成、新任教諭向けの研修の報告書の作成・・・。
・平日に夜遅くまで残業しても終わらず、土日の1日は出勤。4月の残業は100時間超。
・クラスの落ち着きのない子どもから殴られるなどのトラブルがあると、辞職も頭をよぎる。
②関東地方の公立小学校に勤務する新任女性教諭(22)
・保護者から「子どもがいない先生には子どもの気持ちが分からない」といったクレームがあり、精神的に大きなダメージを受ける。
・なるべく先輩から助言はもらうようにしているが、忙しそうではばかられることがある。
・すでに退職を考えている。
・首都圏のある公立中では、着任1カ月たたずに新任教諭が出勤できなくなった。
★各教委の支援
・東京都教委は今年度から、各校に臨床心理士などを派遣し、小学校の新任教諭全員に面談を実施。
・山形県教委は今年度から、小学校で新任教諭に学級担任を持たせないようにする取り組みを始めた。県内の公立小223校のうち、規模の大きい39校で実施。
他の小学校でも担任を持つ1年目の教諭の授業の一部を肩代わりする非正規教員を配置。
・神戸市では、今年4月着任教諭向けの「採用前研修」(10日前後)を2月に初めて実施。
・宮崎県教委は若手や中堅、ベテランなのどの各世代からなる「メンターチーム」を作って新任教諭を指導。
★秋久長夫医長(公立学校共済組合関東中央病院メンタルヘルスセンター)の話
・いまの教育現場は業務量が多く、保護者からの要求も増している。
・新任教諭は仕事に不慣れで大きな負担感を抱いているが、そこに先輩教諭によるパワハラなど人間関係の問題が重なると苦しくなる。
・新任教諭の指導を特定の教員が担うのではなく、みんなで分担して育てる仕組みが必要。
・新任教諭が指導に関わった教員を評価する双方向評価制度の導入が必要。
◎新任の先生に知ってもらいたいこと
①未熟さや失敗を過度に恥じる必要はない。
②燃え尽きるのを防ぐため、子どもと少し距離を取った方がよい場合もある。
③常にメンタルヘルスを意識し、眠れない、気持ちが沈むときは早い段階で医療機関に相談する。
「教員不足」の悪化は4割に上ったそうです。ストップ・ザ・タイショク。
仲間に温かい職場でなければ、いい教育はできません。職場がダメなら、がるべるがありますよ!
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