今日も、読売新聞の「情報偏食 ゆがむ認知」「第3部 揺れる教育現場」(5月29日~6月5日)の第5回(6月5日)に注目してみます。
第5回(最終回)は、「脱スマホの取り組み」を取り上げていました。
★子どもが平日にネットと接する時間調査(10~17歳の小中高校生5000人対象、内閣府、2022)
・平均4時間41分。約7割が3時間以上利用。
・小学生の平均3時間34分、中学生4時間37分、高校生5時間45分。
・学年が上がるにつれて長くなっていく。目的は「動画視聴」が最も多い。
★ネット依存調査(厚生労働省、2017)
・ゲームを含むネット依存が疑われる中高生は推計約93万人。
・前回調査(2012) の約52万人から大幅増加。
★瀧靖之教授(東北大・脳医学)の話
・思春期の子どもの脳は感情をコントロールする前頭葉が未発達。
・SNSや動画には、子どもの五感を刺激するものが多く、見る時間などをルール化して守らせることが、健全な脳や心身の発達に重要。
今回は、3つの「脱スマホ」の取り組み例が紹介されていました。
①宮城県東松島市の中学校の取り組み
・全国学力テストで東松島の中3の平均正答率は、全国平均を5ポイント前後下回り続けていた。
・2022年度の数学では、スマホの使用が「4時間以上」の場合は「1時間未満」に比べ27ポイント低かった。
・昨夏開かれた「子ども未来サミット」でスマホなどを使う時間を「平日1時間程度」と目安を決め、「東松島ゴール」と名付けた。
・紹介された中学校では、「90分以内」とし、月に1度は「48分以内」とする日を設ける。
・生徒会が校内放送などで呼びかける。
・5月中旬、3年生の7割超が目標達成。
・「睡眠不足が原因の体調不良で保健室に来る生徒は以前より2割強減った。規則正しい生活環境は学力向上の土台で、好循環が生まれている」(担当教諭)
②日本女子大付属中の取り組み
・「精読」と呼ばれる時間 1年生の時から国語の授業時間数の半分を使い、各学期に文庫本を1冊読ませる。
・大切にしているのは、「没入感」に浸ること。
・「教科書に載る文学作品も一部の抜粋。ネットの情報はさらに断片的だ」、
「様々な作品にじっくり触れることで、色々な視点から物事を捉えられるようになる」、
「言葉に敏感になり、なぜこういう表現を使ったのかを考え、作品の裏側にある作者の伝えたかった思いやメッセージが読めるようになっていく」(校長)
③長野県御代田町のPTAの取り組み
・3年前、町内にある小中学校3校の児童生徒が出した「子ども宣言」に続き、PTAが中心となって「保護者宣言」をまとめた。
・各家庭でデジタルメディア利用のルールを決める。
・子どもが守らない時は「厳しい態度」で臨む。
・保護者も子どもと共に使い方をチェックする。
・母親の1人は「息子たちの前ではなるべくスマホを使わないようにしている」という。
・「保護者が率先して自制する姿勢を見せることで、子どもの意識も高まる」(田島祥准教授・東海大・教育工学)
情報の発信者側のネット弊害を抑える取り組みも紹介されていました。
・利用者の関心をひく情報が無秩序に量産される中で、信頼性を高めることは急務。
★法政大社会学部の学生グループの調査
・昨年9月下旬1週間の大手検索サイトのトップ画面に掲載された621本の注目記事の根拠を調べる。
・取材や検証をしていないと思われる記事は76本、19本は判別が難しい。
・正確で信頼できる情報を担保するための取り組みは国内外で進行中
・米国ではマイクロソフトやソニーなどでつくる団体が、ネット上の情報の出所や来歴を利用者に示し、偽情報の浸透を防ごうとしている。
・国内でも、新聞社やIT大手などでつくる技術研究組合が、認証されたメディアや広告主であることを証明する「オリジネーター・プロファイル(OP)」の実装化を目指す。
今回読売新聞の連載記事を読んで、「情報偏食」という言葉の重みが少し分かったような気がします。学校では、SNSより楽しい体験をもっといっぱいさせたいですね。
コメントをお書きください