4月29日(土)朝日新聞の「耕論」は、「お土産どうしてる?」でした。皆さんは、旅行に行くと、お土産を必ず買う方ですか?
今日は、3人の中の1人の民俗学者の神崎宣武さんの話に注目してみます。
「ご近所へ 廃れゆく習慣?」
・土産と書いて「みやげ」。不思議な読み方。
★「みやげ」の語源説
・街道が整備された江戸時代中期、庶民も旅するようになった。
・村の有志のグループで、お金を積み立て、伊勢神宮など遠隔の神社に、代表者が参拝するようになった。
・旅に出る人を村人や家族が村境まで送り、宴が開かれた。
・代表者は参拝の物的証拠として、お神酒をいただいた器「宮筍(みやけ)」を持って帰ってきたことが「みやげ」の語源との説がある。
・参った寺社の門前では、その土地の特産品「土産(どさん)」を売るようになり、こうしたものを含め、旅先から持って帰るものが「みやげ」と呼ばれるようになったという説もある。
★土産の中身
・旅行した証明となり、グループ内で平等に分けられる「土産(みやげ)」。
・伊勢参りでは、神札、暦、薬など変質しなくて軽いものが主流。
・明治時代には鉄道が開業して、変質しやすい食べ物も運べるようなる。
・人気があったのは温泉まんじゅうなど。
・包装には地名が明記されていて、みんなに分配できる。
★共同分配
・コミュニティーに人たちに同じものを配る「共同分配」は日本特有の文化。
・背景には、定住する農耕民族として、地域で濃厚な人間関係を築いてきた歴史がある。
・田植えや稲刈りは金銭を介さずに助け合ってきた。
・旅行で不在の時も相互扶助で働くので、お礼を込めて、地域のみんなに土産を買ってくる。
・職場で土産を配るのも、この流れをくんでいる。
★土産の習慣の崩れ
・最近、新幹線の車内でも地名の入った土産袋を目にしなくなった。
・土産を配らなくなるということは、その共同体が崩れてきているという証し。
・共同体において、子育てであれば、祖父母が手伝い、さらに足りないところは地域の誰かが手助けをしてくれたが、それが崩れ、地域の相互扶助が後退してきている。
・そうなると、高齢者問題も含めて、行政に依存するしかなくなる。
★欧州型
・欧州にも、旅先で買ったものを渡す土産の文化はあった。
・共同分配するのではなく、相手の嗜好に合わせて、それぞれに違うものを渡す。
・日本でも、共同体の縮小に伴い、個人別に渡す「欧州型」に近づいている。
★「土産」と「手土産」
・旅をルーツとする「土産」と、「手土産」は意味合いが違う。
・手土産は訪問先の個人に、あいさつとともに渡すもの。
・手土産は、神棚や仏壇へのお供えが原型ではないか。
・「土産」の変化により、両者の区別がつかなくなってきている。
訪問する感謝の気持ちを込めた品物を持って行くのが「手土産」ですから、自分の地域の特産品を渡すことが多いのですが、「土産」は、旅行先の名物をプレゼントするのですから目的、中身が当然違ってきますよね。
最近地域クーポンをもらってから、土産品を見るのが楽しみになりました。
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