5月2日(火)日本経済新聞「教育」欄にあった「学びを支える専門家に」「教員の育て方 どう変革」の見出しが目に留まりました。
寄稿された松木健一先生(福井大副学長)の話が心に響いたので紹介します。
・今、教育のあり方が大きく変わろうとしている。
★教育の転換
・教員の専門性も変わり、「教えの専門家」から「学びを組織する専門家」への転換が求められている。
・日本の教育は高度経済成長以降、「より高く・より良く・より早く」という社会的要求が強まる中で「正解(知識)の暗記」や「皆と同じことができる」「言われたことを言われたとおりにできる」を中心とするようになった。
・学習活動とは本来、子どもが主体的に直面する事象から解決すべき課題に気づき、多様な立場の人と協働して正解ではなく納得解を見いだし、表現する力を培うこと。
・現実には大半の教員は大学の教員養成課程で伝達型の教授・学習を通して学び、その担い手として働いている。
・主体的な協働研究の面白さを経験したことのない先生が子どもの主体的な探究を支えられるはずがない。
・2022年の中央教育審議会答申でこうした深い学びを支えるため、教員自身の学びの転換を提言した。
★教員養成の変革
・文科省は変革のけん引役として国立大4校を「教員養成フラッグシップ大学」に指定。
◎教員養成フラッグシップ大学(福井大学、東京学芸大学、大阪教育大学、兵庫教育大学)
★福井大の構想のポイント
①子どもの協働探究を支える実践力を育成。教員養成自体を探求型に
②現場が直面する課題の解決を通じて教員を育てる「学校拠点方式」
③「フラッグシップ科目」を設定し、小中学校双方の免許を取得
④単位互換制度などを通じ教職大学院の広域ネットワークを形成
⑤遠隔による研修手法の開発を通じ、生涯学び続ける研修システムを構築
★福井大学の教職大学院
・教職大学院は教員の養成・育成に特化した専門職大学院。
・学びの場を学校に移す。
・学校改革をテーマとする大学院。
・福井大は、現職教員が勤務校を休職せず、学校で自校の抱える課題の解決に同僚と取り組む。(②学校拠点方式)
★学校拠点方式
・福井県内外の計67の学校・園が参加。
・大学の教員は3人以上のチームで訪問。
・教員が直面する課題を共有したうえで自らの学問や経験を基に意見を述べる。
・教員はそれを相対化しつつ受け止め、自身の実践のとらえ方を再構築する。
・定期的に大学に集まり交流することで、学校種や年齢の違いを超えた実践の共通性や普遍性に気づき、職場内訓練(OJT)の欠点をカバーできる。
・学部新卒で院に進んだ学生もインターシップとして参加。教員が学び合う組織づくりに励む姿を目にすることは、明日の教員にとって何よりも大切。
・子どもの主体的な探究活動に触れて教師を目指す学生が現れ、活動に参加し、補助的な業務から次第に教師の役割を果たせるようになり採用される。
・熟練すると今度は自分が学校拠点の活動を通じて若手を育てる。そんな仕組みをつくりたい。
・他の教員と対話し、実戦経験を聞いてもらう中で自らの実践を意味づけし直し、再び実践する。このサイクルを大切にしている。
・教師という専門職の成長に関する捉え方が大きく変わった。
★教員は?
・教員は外からの先進の教育内容の知識や教育方法を伝達されても本質的には変わらない。
・教員は専門職であり、実際の課題に立ち向かう中で自らの教育的価値や信念を問い直す経験を積むことで成長する。豊かな経験を持つには他者の経験が役立つ。
・教員は教員集団が学び合う組織として構築されたときに初めて育つ。
福井県が学力調査の結果がいつも高いのが分かったような気がします。
松木先生のお話を刺激に、日常に疲弊しているのではなく、「学び合う」ことをもっともっと楽しみたいですね。この姿勢は子どもに響くと信じます。
職場でできなければ、「がるべる」で一緒にやりましょうよ。
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