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No弐-774 激務の現場の実態

  先週読売新聞に「疲弊する教員」という記事が3回連載されていたので、今日は1回目の「上」を紹介します。

 

①「激務 1年で退職」「隠れ残業・休みは月2日」(5月5日)

★公立中学校の女性教員(23)の例

・首都圏在住。今年3月末で公立中学校の教員を辞職。

・大学卒業と同時に教職に就いて、わずか1年。

・「想像以上の忙しさ」が理由。

・専門教科を4学級担当。副担任、運動部顧問。

 

・毎朝午前5時半起床。放課後、部活指導。その後学年会。

・翌日の授業準備は午後8時過ぎから。行事が近づくと、その用意で日付をまたぐ。

・「覚悟していた以上に勤務時間が長かった。学校にいる間は、一息つく間もなかった」

・「隠れ残業」当たり前。同僚の教員たちは紙袋に書類を詰めて家に持ち帰る。

・パソコン上で管理する出勤記録簿には、誰も実態通りに登録していない。

・土日もほぼ部活。休みが2日だけだった月も。

・「働きやすい環境であれば、続けたかった」

 

★公立中学校のICT担当の男性教員の例 

・端末の管理や操作の指導、不具合の対応に追われる。

・今年4月の新学期前には、端末番号とメールアドレスを割り当てる全校生徒数百人分のリストを2日かけて作成。

 

★業務の増加、多様化

・学習用端末指導・管理、不登校、発達特性、外国人の子どもらへの対応に多くの時間が割かれる。

・「課題は多様化しているうえに複雑で、教員の負担感は増す一方」(喜名朝博教授、国士館大)

 

★海外との比較

◎各国の教員が受け持つ主な業務(21年度、文科省)

・日本の教員は最多の35業務に関わっている。

・ドイツと韓国(29業務)、米国とオーストラリア(19業務)、英国(16業務)

・「家庭訪問」「学校徴収金の管理」「校内巡視・安全点検」「登下校の指導・見守り」は多くの国で受け持っていない。

・「海外では業務スタッフの分業体制を進め、ICT化で業務効率を高めるなど授業に集中できる環境を整備してきた。日本でも、教員の業務を選んでいくべき」(藤原文雄部長、国立教育政策研究所)

 

 いかがですか?皆さんの職場でもきっと同じような実態があることでしょう。

 1年で辞めるのは早すぎる気がします。どんなに忙しくても発散したり、相談したりできる職場であれば、もう少しがんばれたでしょう。

 業務は、もっと少なくできるはずです。「やめる勇気」と実行力です。

 ただもっと深刻なのは「課題の多用化と複雑化」のはずです。これに真剣に向き合わない限り、負担感は軽くなるどころか、さらに重くなるという危機感をもってほしいものです。