5月6日(土)日本経済新聞別冊「プラス1」の「何でもランキング」は、「社会の教科書ここが変わった」でした。
2年前、No弐-56(2021年5月22日)で「変わる歴史教科書」でも、同じく日経「プラス1」の「くらし探検隊」から、令和と平成の歴史の教科書の違いに注目しました。
今回は社会科好きの大人1000人が知らなかった驚きの変化を選んだそうです。
第1位 最古の人類は「サヘラントロプス・チャデンシス」
・現在の東京書籍の教科書には「アフリカのチャドで、2001年に発見されました」とある。
・ほぼ完璧な形の頭骨の化石が約700万年前の最古の人類のものと分かり、サヘラントロプス・チャデンシスと名付けられた。
・約30年前には人類の起こりを「約300万年前のアウストラロピテクス」としていたが、断定を避けている。
・現行の教科書の多くは、「サヘラントロプス・チャデンシス」という名は載せず「猿人」とするだけで、ペキン原人、クロマニョン人を含め具体的な名称は載せていない。
第2位 645年、蘇我蝦夷らを倒したのは「乙巳(いっし)の変」
・中大兄皇子や中臣鎌足らが蘇我蝦夷・入鹿を倒したクーデターは「大化の改新」と覚えていないだろうか。
・実は約30年前も「蘇我氏を滅ぼす=大化の改新」とは書いていない。
・今はクーデター自体を「乙巳の変」といい、その後の改革を「大化の改新」と区別する。
・教育出版は「645年、中大兄皇子らが蘇我蝦夷・入鹿を倒し、改革を始めた。この年、初めて『大化』という年号を定めたとされているので、この改革を大化の改新といいます」とする。
第3位 源頼朝が鎌倉幕府を開いたのは1185年が中心に(諸説あり)
・約30年前の学校図書の教科書では「1192(建久3)年、頼朝は、朝廷から征夷大将軍に任ぜられ、正式に鎌倉幕府を開き・・・」とある。
・「イイクニ(1192年)つくろう鎌倉幕府」は「語呂合わせで暗記する見本」と、最も印象に残る年号のひとつではないか。
・現在の東京書籍の教科書は「1185年、国ごとに守護を、荘園や公領ごとに現地を管理・支配する地頭を置くことを認めさせました。こうして頼朝は鎌倉幕府を開きました」とする。
・全国支配の基礎となる守護・地頭の制度、御恩と奉公を支える地頭の設置を重視するようになったため、1185年が注目されるが、研究者の間では諸説あり、変わる可能性もあり。
第4位 小1、小2の社会科・理科消え生活科がスタート
・小学校1、2年生の生活科が1992年度に始まり、社会科と理科は3年生から学ぶことになった。
第5位 聖徳太子に「摂政」の肩書・地位が付かないものが多い
・1990年度の教科書では「聖徳太子が推古天皇の摂政になった」など、ほとんどが「摂政」を明記している。
・今は「推古天皇の下、おいの聖徳太子(厩戸皇子)と蘇我馬子とが協力し、大王(天皇)を中心とする政治の仕組みを作ろうとしました」など、摂政と書いていないものが目立つ。
・国政の最終的な決定者はあくまでも推古天皇であり、聖徳太子は天皇を助ける立場と考えられる。
・「太子が摂政」と書いているのは、「日本書紀」で、編さん者は実像以上に太子を偉人に見せようとしている可能性が高い。
「サヘラントロプス・チャデンシス」いまだに覚えられません。
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