今日は、朝日新聞終末別冊版「be」に連載している飯間浩明さんの「私のB級言葉図鑑」からです。今回は、4月1日から22日の4回分です。
①「泥臭い」 サッカー選手も政治家も(4月1日)
早慶サッカー定期戦のポスター(2022)に<泥臭さは早稲田の専売特許です><泥臭くもなれる慶應ボーイって最強>と書いてあったそうです。
・スポーツで「泥臭く点を取る」と言えば、格好をつけず、地道に点を取ること。
・21世紀に入って、「泥臭い」の新しい用法が広まった。
・2011年、当時の民主党代表の野田佳彦氏は<泥臭く、国民のために汗をかいて>と挨拶をした。
・新用法がスポーツから一般に波及した。
②「午后」 レトロな表記が残る理由は(4月8日)
歯科医院の看板に診療時間を<午后2:00>と書いてあったそうです。
・「後」を「后」と書くのは昔は普通だった。
・「后」は「きさき」の意味だが、「以后」「最后」など「後」の代わりに使った。
・中国では、古くから「后」を「後」の意味で使った。
・后(きさき)は後ろに控えているから「後」と関係がある。(後漢時代の「釈名」という書物の説)
・現代の中国では、「後」は「后」と書くのが正式。
・「午前」と「午后」を並べてみると、「后」の画数が少ないので、「午前」との対比が際立つ印象がある。
・野球中継の字幕では「1回表」「1回ウラ」と、裏だけカタカナにしている。「表」「裏」は字形が似ているので、一方をカタカナにして違いを際立たせたのだろう。
③「レディス」 女性であること特に示す(4月15日)
ビジネススーツを扱うチェーン店のフロアガイドに、男性用は<スーツ><フォーマル>と書いてあるのに、女子用は<レディススーツ><レディスフォーマル>と書いてあったそうです。
・これと似たような例は、身の回りにはよくある。
・日本茶は普通「お茶」と言うのに対し、他のお茶は「紅茶」「ウーロン茶」のように「〇〇茶」と標識を付けて区別している。
・職業の言い方にも見られる。「医師」「警察官」と言えば主に男性を刺し、女性は「女医」「婦警」のように女性であることを示していた。
・現在も男性は「俳優」、女性は「女優」と言うが、改める動きもある。
・区別した表示は今後減っていくかもしれない。
④「申し話」 手書きならではのうっかり(4月22日)
休業日を知らせる店の貼り紙に<火曜日 お休み頂いております 申し話ございません店主>と書いてあったそうです。
・誤字にもいろいろなタイプがある。
・音が同じで、文字の一部が共通している場合はよく間違える。
「勧迎」(歓迎)、「構座」(講座)
・文字の一部が共通しているだけでも間違える。
「受駅」(受験)、「傾産」(倒産)、「申し話」(申し訳)
・手書きならではのうっかり例として、風情を味わうべきでしょう。
コメントをお書きください