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No弐-765  2022年度教員の勤務実態

 先日4月28日に文科省が昨年度の教員の勤務実態調査の結果を公表したことで、翌日土曜日に各紙がこの結果を伝えていました。

 いかがですか?現場では「働き方改革」は進んでいますか?

・調査は2016年度以来6年ぶり。夏休み中の8月と10~11月の連続する7日間の勤務状況を聞いた。8月の状況を聞いたのは初。

・勤務実態はやや減少したものの、依然、長時間労働が続く実態が浮かんだ。

 

★月平均残業時間 小学校約41時間、中学校約58時間。(一般の公務員は月12時間)

★「月45時間」の上限を超える時間外勤務(週50時間以上勤務)

 小学校教諭64.5%(16年度81.8%)、中学校教諭77.1%(16年度89.0%)

★過労死ラインの「月80時間」を超える時間外勤務(週60時間以上勤務)

 小学校教諭14.2%(前回比19.2ポイント減)、中学校教諭36.6%(前回比21.1ポイント減)

★持ち帰り仕事時間(平日)

 小学校教諭37分(8分増)、中学校教諭32分(12分増)。土日は小中とも減。

 

★平日1日あたりの勤務時間 

小学校教諭10時間45分(前回比30分減)、中学校教諭11時間1分(前回比31分減)、高校10時間6分。

★土日1日あたりの勤務時間 

小学校教諭36分(前回比31分減)、中学校教諭2時間18分(前回比1時間4分減)

 

・中学校教諭の土日勤務の大幅減は、文科省が部活動のガイドラインで平日と土日1日ずつの休養日の設定や平日の時間短縮が要因。

 中学校教員の部活動時間 平日37分(前回比4分減)、土日1時間29分(前回比40分減)

 土日の平均指導時間サッカー部(4割減)、バスケットボール部(3割減)

★中学校教員の主な勤務時間

 授業3時間16分(+11分)、朝の業務44分(+7分)、学習指導13分(+4分) 

部活動1時間29分(-40分)、学校行事(-12分)、授業準備1時間23分(-3分)

 

★業務別時間

 「朝の業務」小中とも6~7分増。(コロナの影響、健康チェック)

 「学校行事」11~12分減。(精選が進む)

★8月の平日勤務

 小学校教諭5.6日、中学校教諭8.4日。

 

★勤務時間削減のカギ「学校のデジタルトランスフォーメーション」

・各国と比べて日本の教員は紙の書類作成などの事務作業が多い。

・家庭へのアンケート、遅刻や欠席連絡を電話や紙で行う学校はなお残る。

・メールやオンラインシステムを活用していない中学校(12%)

・大半の学校が「校務支援システム」の導入などで仕事の見直しを図るが、時間短縮の効果が出たのは成績処理などの一部の項目にとどまった。

 

・教職調整額を現在の4%から数ポイントを引き上げたうえで、担任や部活顧問、主任の職に就く教員に相応の手当を支給する案が浮上しており、提言に盛り込むかどうかの検討が進む。

 

★業務を減らす難しさ

・「給食時の対応」を「削減すべきだが削減は難しい」と答えた教員(小中学校)は約6割。

・「部活動」や「校内清掃」も5割近くが「難しい」と答えた。

・理由は「慣行は見直しづらい」「保護者の理解が必要」などが多かった。

 

 改革は痛みが伴います。「難しい」では前に進みません。業務や会議のさらなる削減や効率化には、強いリーダーシップが必要です。

 早く帰ることができる職場を目指すのではなくて、悩みを聞いてもらえる職場、教材研究ができる活気のある職場を目指してほしいです。

いい職場であってこそ、子どもにいい教育ができるのだと信じます。