4月22日(土)朝日新聞別冊「be」の「be report」は、「ジェンダード・イノベーション」についてでした。この言葉をご存知でしたか?
★ジェンダード・イノベーション
・GIは、ロンダ・シービンガ-教授(米スタンフォード大)が2005年に提唱した概念。
・「性差」を生物学的・社会学的に分析、科学の研究開発に取り込み、新たな視点や方向性を見いだし、技術革新を目指す。
・教授は日本では約30年前に翻訳され、昨年改訂新版「科学史から消された女性たち」(工作舎)を発表。
・男性中心だった科学領域にジェンダーの視点を取り込むように早くから訴えてきた。
・GIは欧米で発展してきたが、日本でも22年4月にお茶の水女子大が「ジェンダード・イノベーション研究所」を設立し、産官学の連携と普及啓発に乗り出した。
★見過ごされてきた性差
①自動車の正面衝突事故
・米国の最近のデータでは女性の方が重症のリスクが73%高い。
・開発時の運転席に乗せる人形は各国平均的な体形の男性モデル。
・従来の3点式のシートベルトが妊婦の流産率を上げてしまう。
・妊婦がモデルのシミュレーション解析でシートベルトを骨盤と下腹部にかけると安全性が高まることが分かり、補助具も販売されている。
②骨粗しょう症
・70代でこの病気で骨折する人の3分の1は男性が占める。
・骨折後の死亡率は女性よりも高い。
・男性の発症年齢が女性より10年ほど遅いだけ。
③顔認証の精度
・AIの学習は白人男性がデータとして使われることが多く、彼らは100%近い精度(99.2%)。
・肌が浅黒い女性の精度は7割以下(65.3%)。
・いくつかの企業が機械学習のデータセットを見直した結果、1年後には精度が飛躍的に上がった。
④ゾルビデム(睡眠導入剤)に服用量改善
・女性の方が薬を排出するのに時間がかかり、車の運転中に事故を起こすリスクが高まることが判明。
・13年に米食品医薬品局が女性の服用量を半分に変更。
⑤トラクター「しろぶち」(井関農機)
・農業に携わる女性たちの「乗り降りしずらい」「シート位置が高くて足がペダルに届かない」といった声をもとに開発。
・補助のステップやグリップを取り付ける。
・座席を前後に動くようにする。
・頭上には日焼け対策のサンバイザーを標準装備。
・その後発売した耕うん機「ちょこブチ」では変則レバーを延長。
⑥心臓病
・冠動脈の詰まりは男性に多い。微小血管の異常は女性に多い。
・狭心症や心筋梗塞で原因や症状に男女で違いがある。
確かに身近なところで性差があることに気付くことって大切ですね。
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