今日も、4月15日(土)朝日新聞「耕論」の「『浪人』は消える?」からです。
2人目は、「教育ジャーナリスト」の立場から小林哲夫さんの話を紹介します。
・大学入学者を占める「19歳以上」の割合は約19%。(学校基本調査)
・医学部や難関大では浪人率が上がるが、減少は続いている。
★東大合格者と浪人割合
・1963 日比谷(63.5%)、西(64.9%)、戸山(73.4%)、新宿(82.3%)。
・2023 上位5校の浪人率が最も高い麻布(32.1%)。(週刊朝日)
・現役と浪人の比率が完全に逆転している。
★中高一貫6年制のカリキュラム
・首都圏中心に私学全般に広がる。
・高2修了時に全課程を終え、高3は受験対策専念。
・浪人が予備校で1年分の受験勉強を高3で済ませるようなもの。
・公立校も受験実績を重視し、高校の「予備校化」が進み、現役志向は高まっている。
★浪人ノスタルジー
・浪人経験者の多い50代以上に根強い。
・浪人経験を肯定的に懐古するのは、当時の予備校の講師たちから勉強以上に「人生を学んだ」と考える人が多いから。
・70年代以降に予備校講師に多かったのは、学生運動に挫折し、堅苦しい勤めを嫌って流れてきた人たち。
・次第に個性的な名物教師として名をはせ、その独特な雰囲気は「予備校文化」と言われることもあった。
・高校の教師にはないエネルギッシュな語り方に影響を受けた浪人生は多かった。
・10代の後半に1年足踏みする経験をもったのは、本人にはその後の人生にプラスに働いたかもしれないが、あまりに美しい「浪人賛歌」もどうか?
・大学新入生の過半数が浪人だった時代はやはりどこか異常だったような気がする。
・10万人20万人もの18歳が、限りある人生の1年間を浪人で滞留している姿は、日本の国にとって目に見えない損失ではなかったのか?
3人目は「教育アントレプレナー」の立場から小林りんさん(学校法人ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン代表理事)の話です。
★アントレプレナー
・「事業を起こす人」を意味する言葉。フランス語の「entrepreneur」が語源
・元々は「仲買人」「貿易商」などを指していたが、「起業家」「実業家」などの意味合いで広く使われるようになる。
・日本で「浪人」は、どんどん減っていくだろうが、教育のあり方は多様化し、大学に行く前に「ギャップイヤー」を経験する人は増えていくと思う。
★ギャップイヤー
・大学入学を一定期間遅らせて学業を離れ、様々な体験を積むこと。
・多様な価値観に触れている人、革新的な発想ができる人の価値が企業だけではなく、あらゆり組織の中で重視されている。
・そういう人は、おそらく画一的な集団で画一的な教育を受けてきた人ではないはず。
・浪人という言葉ではなく、「ギャップイヤー」と私たちが呼ぶような選択肢が大事。
・高校を卒業してすぐに大学に行かなくてもよい。
・世界中を見てみたり、考えたり悩んだり迷ったりすることはすごく大事。
・その経験が人間の厚みを増し、視野を広げ発想を豊かにしてくれるのではないか。
・奨学金付きのギャップイヤーなどが定着するいい。
お2人の話はいかがでしたか?私も浪人しました。貴重な経験だったとプラスに考えていますが、決して美化もしていません。
あの1年で「がまん」を覚えました。ストレートに大学に入学していたら、教師の道は選ばなかったと思います。
もし、生まれ変わっても「浪人」しようとは思いませんが、「ギャップイヤー」はしてみたいと思います。ぜひ奨学金制度を広げてほしいです。
回り道をしないと気がつかないことってたくさんありますよね。
コメントをお書きください