少し古くなりましたが、1月31日(火)の日本経済新聞に「小学校英語の課題」の記事があり、気になっていました。回答していたのは、田中真紀子教授(神田外語大)。
★小学校英語教育の始まり
・小学校の英語教育は、2008年の学習指導要領改訂で5、6年生に外国語活動(英語)が新設され、必修になった事から始まる。
・背景には、1998年の学習指導要領改訂で3年生以上に設けられた「総合的な学習の時間」で国際理解教育の一環として外国語会話などの学習ができるようになった。
・2007年度には小学校の英語活動実施率が97%に達したが、授業時間数や活動内容にはばらつきがあった。
・そこで文科省は「義務教育の機会均等の確保」と「中学校英語教育との円滑な接続」を図るため小学校英語の必修化に踏み切る。
★現行の学習指導要領
・3、4年生では、「聞くこと」「話すこと」の音声中心の言語活動を通して、コミュニケーションを図る素地を養う。「話す」技能は、「やり取り」「発表」の2領域。
・5、6年生では「読むこと」「書くこと」が加わり、コミュニケーションの基礎となる資質・能力を育む。
これにより英語の4技能5領域を体系的・統合的に教えられるようになった。
★読み書きの技能
・小学校で英語を勉強した中学1年生の約8割が、「小学校で英単語や文を読んだり、書いたりすることをもっとしておきたかった」と回答。(2012年文科省調査)
・読み書きは、中学校の英語教育に直結する技能で、小中の円滑な接続のカギ。
★読む技能の習得
・小学校段階での「読む」は、音声で慣れ親しんだ語や表現が読めることが目標。
・読む技能は、聞いたり話したりしているだけでは習得できない。
・英語の文字の読みは、音素(音の最小単位)の認識から始まり、文字と音の関係を理解させる指導へと進める必要がある。
・アルファベットの音と文字の関係を習わず、英語を「見て」覚えてきた子どもたちは英語が読めず、学習につまずく。
・学校教育の中で、丁寧に教える必要がある。英語圏の幼稚園や小学校は、この指導に時間をかける。
★英語のつまずきの原因(2015年、ベネッセ教育研究所)
・「単語(発音・つづり・意味)を覚えるのが苦手」61%
・「文や文章を書くことが苦手」57%
・「文字や文章を読めない(文字から音にうまく変換できない)」43%
・「単語が覚えられない」のは、そもそも読めないので覚えることができない。
・英語を書くには、単語の音を音素に分解し、文字に対応させる。
・英語を読めない児童は、英語の音を表す文字が書けず、英語を書く技能が身につかない。
・現在、小中学校とも「読む」は音声に続いて繰り返し単語を発音させる指導が中心。
・「読む」「書く」の指導は、まず文字の音素を正確に発音できるようにすべき。
★小学校教員の英語指導上の不安(2021年、千葉県小学校教員90人、田中教授研究チーム)
①評価方法 ②自分の会話力 ③音声指導 ④教材開発 ⑤指導案作成
・「自分の発音」が不安のトップ5に入る。
・発音に自信がないために音声指導に不安を感じている教員が多い。
・「読む」つまずく児童が多い中、つまずきを助ける責任を負っている教員が正確な発音と文字を対応させる指導ができないというパラドックスが生じている。
私も発音コンプレックスがあります。そこで、先日この話題を現在高校で英語を教えている大学の友人(先輩)に相談したところ、彼もこの記事を読んだそうで、講師を快く引き受けてくれることになりました。
テーマは「基本的な発音の仕方と文字と発音の関係」。小学校の先生方が英語指導でどんなことに困っているのか?いっぱい質問をしてほしいと言ってくれています。
4月のがるべるは、来週22日(土)15:00神田に集合です。お待ちしてます。
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