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No弐-741  教科書検定

 今日は、先週3月28日に公表された2024年度から小学校で使われる教科書の検定結果の記事からです。

・今回は、現行の学習指導要領に対応した2回目の検定。

・前回18年度検定に合格した教科書の改訂版を審査。

・申請された11教科全149点が検定に合格

 

★QRコード

・全教科全点にQRコードを掲載。現行版より大幅増。大量のデジタル教材の利用が可能。

・東京書籍の算数は、大半のページにQRコードが付き、6学年全体で1455のデジタル教材(前回85教材)。 国語は、6学年全体で600か所以上(前回55か所)。

 

◎プログラミング教育の主な題材(日本経済新聞)

「国語」 身近な課題の解決に関するプログラマーの文章、ごみ問題の課題の細分化し、「プログラミング的思考」で解決策を探る。

「算数」 正多角形をコンピューターで作図する手順、5桁の数を四捨五入するプログラムを考える。

「理科」 電気を無駄なく使う照明の動作を考える。

「家庭」 炊飯器を例に挙げて家電製品の仕組みを紹介。

 

◎QRコードから接続できるデジタル教材の例(読売新聞)

「算数」 解き方の手がかりが出てくる「ヒント」ボタン(東京書籍)、練習問題の自動丸付け機能

「理科」 送風機の風の強さを変えて車をゴールまで動かす「駐車場ゲーム」(啓林館)。

「社会」 デジタル上で白地図に施設を置きながら地図作成(教育出版)、47都道府県を学ぶ単元で、デジタルのすごろく作成(日本文教出版)。

「家庭」 青菜のおひたしやみそ汁の調理実習やミシンの使い方を学ぶ作業動画(東京書籍)。

「保健」 交通事故防止で、教科書に掲載されたイラストを補完するアニメ(東京書籍)。

「生活」 シロツメクサの冠作りの動画やセミや昆虫の鳴き声を再生するボタン(啓林館)、生き物図鑑。

 

★プログラミング(読売新聞「学ぶ 育む」)

・6教科(国語(2)、算数(31)、理科(12)、図工(3)、家庭(2)、英語(1))51点。

前回検定(18年度)の26点から倍増。低学年の算数や理科で扱う教科書が増えた。

 

「理科」 申請した全6社が6年生でプログラミングを取り扱う。前回検定で掲載例がなかった3~5年生でも今回2社が教材に盛り込む。

・6年生で、電気を無駄なく使うプログラムを取り上げた。3~5年生向けには、送風機の強さを変えて車をゴールに運ぶゲームなどを取り入れた(啓林館)。

・6年生では、人感センサーを使い、人との衝突を自動で回避する電気自動車の模型のプログラムを作る。各学年の巻末に、熱中症計の警告ランプの色分けなど、日常生活に関係するプログラムの題材を掲載(東京書籍)。

 

「家庭」 申請のあった全2点で、日常生活で使う家電製品が題材。

・炊飯器と洗濯機に加え、新たにロボット掃除機の事例を追加(開隆堂出版)。

 

「国語」 今回、プログラミング教育が初登場。2社の2点が取り使う。

・6年生では「問題を分けて考える」「共通するところを見つけて、一般化する」など、課題解決にプログラミング的な思考が役立つと示す(光村図書)。

 

★性の多様性(読売新聞「学ぶ 育む」)

・性的少数者(LGBT)への理解に広まりを反映し、性の多様性を取り上げた教科書は前回の2点から10点に増加。社会(1)、保健(6)、道徳(3)

 

「保健」 「体の発育・発達」を学ぶ3・4年生向けの保健では、5点で性の多様性の記述。

・性の多様性の記述は、従来は脚注で扱っていたが、コラムに格上げ(学研)。

 

「道徳」

・3年生では、オスのペンギンのカップルが、産み落とされたまま放っておかれた卵を温め、ひなが生まれた実話を紹介(教育出版)。

・取り扱わない(光村図書)。「先生の知識を含め、理解が足りないまま、言葉だけが先行し、教科書のせいで、からかいやいじめの対象となることがあってはならない」(担当者)。

 

・性以外の面でも、多様性に配慮した記述が充実。

「社会」 

・教科書に登場する子どものキャラクターを4人から6人に増やす。車椅子に座る「つむぎ」と、外国にルーツがある「ミゲル」が加わる(教育出版)。

 

「家庭」

・キャラクター数を2人から4人に倍増、足の障害のある車椅子に座る男の子と、外国にルーツを持つ女の子が登場。女性のイスラム教徒が髪を覆うスカーフ「ヒジャブ」をかぶった子が登場(開隆堂出版)。

 

「国語」

・1年生では「ぐえん たん あん」という名の外国にルーツのある男の子登場(東京書籍)。

 

「生活」

・家族について取り上げる際に、多様な家族の在り方に配慮(啓林館)。「両親がそろっているイラストを掲載しない」(担当者)。 

 

★その他

・コロナ禍に関連した記述を多数掲載。(保健21%、英語8%増)

・情報モラル教育では、フェイクニュースやファクトチェック、「SNSを使う時の注意」などの記述は49点。フィルターバブル、エコーチェンバーなど新たなキーワードも登場。

・新聞を活用した学習「NIE」に関する記述は、国語や社会で30点。

・大谷選手は5教科10点、藤井六冠は3教科8点に登場。

 

 最近は居酒屋、レストランでもQRコードを使った注文も増えてきましたね。

確かにデジタルは魅力もたっぷりですが、心配な声もあります。

★酒井邦嘉教授(東京大・言語脳科学)の話

・QRコードがあると、子供は見たくなり、授業への集中を阻害する可能性がある。

・QRコードで簡単に情報を得られると、学習態度が受け身になりやすくなる。

 他にも、学習用端末を使った授業の後で2~4割の児童生徒が目や首、肩などに疲れや痛みを感じていたという調査報告(文科省21年度)もありました。

 上手に活用していくことですね。