今日も「桜」に注目してみます。3月31日(金)朝日新聞「扉」の「桜・下」からです。
今回は、ソメイヨシノの誕生の謎に触れていました。
★染井
・駒込の染井吉野桜記念公園の記念碑にはソメイヨシノの「発祥の里」とあり、このあたりはかつて「染井」と呼ばれた。
・江戸時代には広大な大名屋敷からの需要で、花卉(かき)や植木の一大生産地。
・技術的に優れた植木屋が集住。江戸の園芸センター。
・江戸時代後期から明治初期にかけて、桜の名所である奈良県の吉野山にちなんで「吉野桜」として、染井の植木屋によって売り出され、交通網の発展とともに全国に広まる。
★ソメイヨシノ名づけの由来
・1900(明治33)年ソメイヨシノの名前が初めて文献に登場。
・東京帝室博物館(現・東京国立博物館)の藤野寄命(学者)が日本演芸会雑誌に報告。
・東京の上野公園の桜を見ていると、吉野山の多い山桜とは違うことに気づき、染井から来た吉野桜として「ソメイヨシノ」と名付けられた。
★ソメイヨシノの誕生
・原産地はいまもはっきりしない。
・DNA解析では、ソメイヨシノの「母方」はエドヒガン、「父方」はオオシマザクラ。
「父方」はオオシマザクラとヤマザクラの雑種という説もある。
・ゲノム解読研究では、ソメイヨシノの2つの祖先種は552万年前に異なる種に分かれる。
・十年前に交雑してソメイヨシノを生み出した。
★中村郁郎教授(千葉大・植物遺伝学)の研究
・上野公園内の小松宮彰仁親王像の近くにあるソメイヨシノに注目。
・ここにはエドヒガン系の「コマツオトメ(小松乙女)」という品種の原木がある。
・4本あるソメイヨシノの1本とコマツオトメの原木を含むエドヒガン系6本を解析。
遺伝的に近い「きょうだい」の可能性が高い。
・ここできょうだいの桜を並べて植え、コマツオトメ、ソメイヨシノが誕生したのでは?
★かずさDNA研究所、島根大、京都府立大の共同研究
・親木から切った枝を台木につなぎ合わせて育てる「接ぎ木」で増やされるクローン。
それぞれの木が育つ中で突然変異が起こると、接ぎ木で突然変異が次世代以降に引き継がれる。
同じ突然変異を見つけると原木からのルーツが分類できる。
・上野公園の4本を含めた青森から宮崎まで全国19都道府県の46本のソメイヨシノをゲノム解析。
・結果は、46本は6グループに分けられ、上野公園の4本はそれぞれ異なるグループ。
各グループは地理的に偏らず、まんべんなくばらついている。
上野公園の4本が人の手で全国に広がったのではないか。
4本のうち、親にあたるエドヒガンとオオシマザクラの遺伝子配列と近似している1本を「より原木に近い」と推定。
異なるグループの4本が上野公園に同時に存在するのは、それぞれに特徴的な突然変異を枝ごとに持つような原木が存在するのではないか?
そんな原木が全国各地ににないか?と探し始めたそうです。
ソメイヨシノ誕生の謎を解き明かそうと胸躍らせる研究者がいるということでした。
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