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No弐-734  通知表をやめた小学校2

 昨日の続きです。3月25日(土)朝日新聞「オピニオン&フォーラム」の「通知表をやめた小学校」からです。

 

★保護者の反応

・新型コロナ休校期間に重なり、当初予定していた学年・学級懇談会などで全く説明ができなかった。

・学校便りで「通知表をやめ、面談中心にします」と伝えたが、50件を超す意見が保護者から届いた。

・最も多かったのが「通知表の代わりに何がもらえるんですか」

 

★自己評価表の失敗

・「何か渡さないと収まらないかも」と弱気になり、先生たちに自己評価表を作らせてとお願いしたが、失敗だった。

・自己評価できない子がいたり、教員も逐次コメントを入れたりで「通知表の方がよかった」と言われた。

・保護者に説明し、完全に通知表はなしという形になった。

 

★保護者への説明

・今も通知表があった方がよいという児童も保護者もいるが、特に大きな問題にはなっていない。

・成績はランク付けと思われているけど、そうしたことへの挑戦と説明した。

・成績がわからなくなるという保護者には、成績・評価は日常のプリントや先生のコメントからわかると伝えた。

 

★学校の評価

・入試は、枠を定め、ふるい落とすための試験だが、公教育である小学校はそういう場ではない。例えるなら、運転免許の試験。

・学習指導要領では学習範囲が決まっているが、順位を決めるのではなく、一定のライン

を超えれば全員合格。

・その目標をみんなで超えていくため、集団生活や友達との関係、学校行事もある。

・学校の評価と塾の評価とは違う。

・公立学校が塾に近づこうとした時期もあったが、現在はそれは違うという方向に戻ってきている。

・学校で評価されるべきは、授業中の発言や真剣に考えること、友だちの意見を受け止めて自分の考えが変わっていくこと。

 

★通知表廃止後の子どもの変化

・「教室で自由に発言する子が増えたね」と定期的に来ている大学教授から言われた。

・以前は、間違えているかもとびくびくしたり、発言しなかった子も、物おじせず発言するようになった。

・なぜそう考えたのか、みんなで話し合う授業も始まった。

・自分で考えられる子どもを育てようと言われるようになったが、評価で序列がつくられる教室では、それが難しかったのではないか。

・間違えた子は分からないことを聞き、できた子は間違えた子に教えている。教える側も教えてもらう側も、楽しそう。

 

★通知表廃止後の教師の変化

・テストに点数を付けない先生も増えている。そうすると点数で比べ合わなくなる。

・教員は通知表作成のための100時間超がなくなった。

・むしろ、普段の授業や児童との関わりは、以前より大変になったかもしれないが、そこに教育効果があると信じられるから、教員もがんばれている。

 

★通知表廃止後の保護者の変化

・今まで目にとめてこなかった子どもの作品や変化に気付けるようになったという話を聞く。

 

 国分校長先生は、「大人になって本格的に競争社会に入れば、うまくいかないこともあるが、学校で、以前の自分と比べて成長を感じられ、それを見てくれる人がいると思える経験があったら、それは競争社会でもプラスに働かないだろうか」と話されています。

 通知表はなくても、評価は必要です。自分の知らない伸びに気付けたり、自分以外の人に伸びが分かってもらえたら嬉しいじゃないですか?励みになるはずです。自信になるはずです。

 「うちもやってみよう」という学校が増えるといいですね。