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No弐-733  通知表をやめた小学校1

 3月25日(土)朝日新聞「オピニオン&フォーラム」のテーマは「通知表をやめた小学校」でした。読んでみたくなるでしょ?

 神奈川県茅ケ崎市立香川小学校の国分一哉校長先生のインタビュー記事でした。内容が多いので2日に分けて紹介します。 

 

★通知表の廃止

・2019年度を最後に通知表を廃止。

・通知表を出すか出さないかは校長の判断で決められる。

・廃止の学校は初めてではなく、長野県伊那市の小学校が知られている。

 

★廃止のきっかけ

・きっかけは、20年度の学習指導要領の改訂。

・評価の観点が大きく変わり、それまでの通知表が使えなくなる。

・それにどう対応するか、18年度から教員たちと話し合いを始めた。

 

★通知表への問題意識

・多くの教員は、児童の努力や成長に着目したいと思って日々接しているが、学期末に通知表を渡すと、児童は「よくできる」の数に一喜一憂して終わってしまう。

・児童の間にも「よくできる」たが多ければ自慢し、少なければ自分はダメだと卑下し、序列が生まれる雰囲気があった。

・どうしたらこれを変えられるだろうと考える中で、教員からの「通知表をなくせる?」という問いかけに、「ありだね」と答えた。

 

★通知表の与える影響の強さ

・子どもの自己肯定感への影響、教室に生じる序列を多くの教員が同じ意識でいた。

・通知表が伴う「数値化」が児童と保護者のみならず、教員のあり方にも影響。

・児童や保護者は「クラスの中での順位」を知りたがる。

・通知表は相対評価から絶対評価になり、順位を示すものでは本来ないと説明しても、なかなか納得しない。

・成績を数値化して説明できなければ、という空気が学校現場に広がっている。

 

★成績管理ソフト

・市販のテスト使い、ソフトに点数を打ち込むと、平均点が算出され、各児童の評価が自動的に出てくる。

・数字で示されると納得する保護者は多い。

・入力すれば通知表はほぼできあがるので、仕事の効率も上がる。

・数値化を求められる中、数字にしたことで仕事をしたと勘違いしてしまうことが起きていた。

・膨大な時間と労力をかけて完成させた通知表が、児童のよい変化につながる時間がない。

・それならいっそ通知表をやめて、普段の授業や取り組みに時間と労力を傾けた方がよいのではないか。そう決まったのは20年2月。

 

 国分校長先生は、「同じ80点でもAさんとBさんの80点では意味が違う。以前の点数と比べ、変化があるか、学習の姿勢はどうか。本当はそうした中身の違いを把握し、次にできるようにしていくのが教育の仕事」と話されています。その通りだと共感しました。

 

 明日に続く。