· 

No弐-711 教員採用曲がり角

 昨日3月7日(火)の日本経済新聞の教育欄にあった「曲がり角の教員採用」の見出しが目に留まりました。

・戦後長く続いてきた日本の教員採用制度は曲がり角に来ている。

・公立小学校採用倍率 12.5倍(2000年度)→2.5倍(2022年度)

・18県市で2倍を下回り、4県は1倍台前半。

 

★教員採用試験

・1950年代初め、東京都が採用試験の前身にあたる試験を始めた。

・当時、待遇のよい都の教員募集に多様な経歴の志願者が殺到し、それを選抜する必要に迫られて選考試験が導入され、50年代後半にかけて全国に広がった。

・教員採用試験とは何かを明確に定義し、実施に義務づける法令はない。

 

★東京都

・東京都教育庁は1月、2023年度から実施する教育の確保策を打ち出した。

①教員採用の早期化。

・1次試験3科目ののうち「教職教養」と「専門教養」を大学3年生で受験できるようにする。

・通過すれば4年生では論文に合格することで2次試験に進める。

・「教育実習もある4年生の負担を軽くし、受験者層を広げたい」(選考課長)

 

②教員免許なしで受験できる社会人向け選考枠の対象年齢引き下げ

・40歳以上から25歳以上へ大幅に引き下げる。

・合格後2年以内に免許を取得すれば採用される。

・学校支援員、塾講師といった教育関係職からの転身に期待する。

 

★横浜市

・大学3年生の早期受験を始める。

・都との違いは合格すれば3年生の10月に内々定を得られる。

・採用実績のある大学100校の学生、小学校教員を目指す人が対象、大学の推薦が要件。

 

★福岡市

・試験の受験が不要の選考枠を設ける。

・連携協定を結ぶ15の大学・短大の学生が対象。

・大学の推薦と教育実習の評価で合否を決める。

・23年度採用には54人が合格(142人応募)。合格者全体(733人)の7%。

 

★今後の課題

①教員免許状の信頼性

・教員免許状に「教員に必要な最低限の能力の証し」としての信頼性を持たせる。

・指導力不足の新人が現場に送り出され、免許への信頼が低下している現状に歯止めをかけるべき。免許状の授与のあり方の再考も。

 

②新人の育成

・最近では大学・大学院を卒業したての新卒者が新人教員に占める割合が高まっている。

 新卒者25.8%(2002年度)→50.7%(2022年度)

・「新人」といっても現場の苦労を知った上で教員を目指している人が多かった構造は様変わり。

・新人の志望動機が以前ほど強固でなくなり、ミスマッチによる離職が増える可能性。

・山形県は23年度から新卒の小学校教員1人で学級担任を持たせない。

 

③教員に求められる能力の高度化

・イノベーションの活発化には協働や対話の中で個性や長所を育む教育への転換が要るし、より多様な人材が関わる必要もある。

 

 教員の「量」の確保は最優先ですが、担当の編集委員は、「採用後も成長し続ける資質」、「変化する教育課題への対応能力を担保する基礎資格」を突き詰めて考える必要があるとまとめていましたが、その通りです。そういう視点が大切なんです。