先週2月11日(土)の朝日新聞別冊「be」の「サザエさんをさがして」は、「尊敬する人」でした。皆さんは「もっとも尊敬する人物は?」と尋ねられたら、誰って答えますか?
マンガの中では、カツオもワカメも「おとうさん!」と答えています。確かにうらやましい。
★加藤諦三名誉教授(早稲田大・社会心理学者)の話
・このマンガが描かれた時代(1963(昭和38)年)は、社会の情報は、父親や学校の先生らを通じて入ってくることが常だったので、「尊敬する人」としてお父さんや学校の先生を挙げる人が多く、父親の権威は残っていた。
・この後、共働きの普及やバブル崩壊などで、父親の権威は徐々に失墜していく。
・なかでも、2000年代に広まったインターネットの影響は大きい。インターネットで情報を得られるようになると、子どもたちが直接社会とつながれるようになった。
・父親の存在感が落ちてくる一方で、相対的に母親の存在感が上がってくる。
・母親の「子どもを保護する役割」は、ネットの情報では補填できない。
★子どもの意識調査(1997、2007、2017、博報堂生活総合研究所)
・お父さん、お母さんはそれぞれ「尊敬する人」「友達のような人」「どうでもよい人」のどれにあてはまるか?
◎2017年(対象 首都圏小4~中2、800人)
お父さん「尊敬する人」(61.5%) 2007年から若干減少。
お母さん「尊敬する人」(68.1%) 過去最高。母親が父親を初めて上回る。
★スマートフォンWeb調査(対象高校生1000人、LINEリサーチ)
・女子高校生 1位母親、2位歌手・音楽アーティスト、3位友達・・・7位父親。
・男子高校生 1位友達、2位スポーツ選手、3位歌手・音楽アーティスト・・・6位母親、7位父親。
★岩井俊憲さん(親子関係に詳しいカウンセラー)の話
◎母親が上回っている視点
①親子関係がタテ関係から、友だちのようなヨコ関係に変わってきた。
②尊敬の概念が「あがめる」から、よりリスペクト、親しみのあるものに変わってきた。
・家庭内のリーダーシップは、昔はいつも父親がとっていたものだが、時代とともに「リーダーシップの交代」が増えてきた。
・時には母親が、時には子どもが、リーダーシップをとっていい。
「『尊敬する人は?』といった質問は、いまの就職・入学面接では、思想信条を聞くことになり聞いてはいけないのだという。しかし、家庭内でも家庭外でも、尊敬する人物がいることは幸せなのかもしれない。」と担当の記者はまとめていますが、私も同感です。
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