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No弐-685  スカウトから学ぶ

 最近の天気予報は当たるんですね。予想通り雪が積もりました。気を付けてお帰り下さい。

 今日は、朝日新聞「オピニオン&フォーラム」の「若者の才能 見逃さない」という見出しが目に留まりました。日本ハムファイターズスカウト部長の大渕隆さんのインタビュー記事でした。

★大渕隆さんのプロフィール

 1970年生まれ。新潟県出身。早稲田大時代にベストナイン。プロ経験はなく、会社員(日本IBM7年勤務)、県立高校教諭(5年勤務)を経て、日本ハムスカウト(2006)。22年からGM補佐兼務

 

★大谷選手のエピソード

・高校時代、監督の指導ですでに自分を成長させる手法を会得していた。

・1年目のオフには、フォームなどの動作解析をしてもらいに自ら大学に行った。

・2年目のオフには、パッと見て分かるほど筋量が増えていた。

・自分で決めたテーマに沿って、PDCAを回していた。

・4、5年目くらいから、とんでもない打球を放っていた。

 

★OSの重要性

・「自ら考える力」を選手が持っているかどうかは、スカウトする上で重視。

・「ハード」が身体能力や技術がとすれば、「OS(基本ソフト)」は考える力や性格。

・ハードが多少劣っても、OSがウィンドウズ3か10かでは全く違う。

・野球は相手のいるゲーム。トレーニングはもちろん、色んな情報を解析してアウトプットするスポーツなので、よりOSが重要。

・プロ野球の1軍、大リーグというソフトを回せるかもOS次第。

 

★OSの見極め方

・球速や身体能力など、見えるデータは評価の確認に使えるが、そこを重視しすぎるとうまくいかないことが多い。

・大事なのは数字にはならない、考える力や強い思いといった「見えないもの」で、そこに焦点をあてなければ我々の仕事の意味はない。

・人間と人間なので、伝わってくる第一印象を大事にする。

・企業の人は「20分の採用試験では何もわからない」と言うが、むしろ1回の方がいいこともある。

・ピンチになった時にその人の本質が出やすい。

・ユニホームの着こなしやグラブの手入れ、野球ノートの書き方なども材料になる。

 

★OSのアップデート

・新人選手の入団時、「君の最高のコーチは、自分自身だ。自分の中に、最高のコーチを育てられるかが重要だ」と伝えている。

・選手は大人の指示や命令で活躍しても、長続きしない。

・ゴールを設定し、自分で計画し練習する必要がある。

・そのとき「最高のコーチ」の知識やレベルが低くては、選手は成長しない。

・選手は、プレー以外の面でも自己研鑽を積んでほしい。

 

★新人研修プログラム

・入団して5年以内に、半分の選手がいなくなる。

・ユニホームを脱いだ時に「野球しかやっていませんでした」ではいけない。

・その後も成長できるための基礎を身につけるプログラムを開始。

・高卒は5年間、大卒や社会人は2年間、寮で生活。

・毎日、日誌を付けることから始める。インプットしたものを、自分の中で改めてクリエートしてから、書いたり話したりアウトプットする。

・それができれば、野球以外でも活躍できる。

・私たちは、気づいてもらう環境を用意しているだけ。

 

★プロ野球選手とは?

・野球がメインではあるが、プレーする舞台はエンターテイメント。

・人を集めて、野球のプレーを通じて非日常を楽しんでもらう。

・ディズニーランドで例えれば、選手はミッキーマウス。

・ミッキーが事件を起こしたら観客はどう思うか、服装が乱れていたら、写真を撮るときに嫌な顔をしたら。それさえ分かれ、行動はおのずと決まる。

 

★スカウトの目

・生徒にはそれぞれ良さがあるのに、受験やスポーツなどで成功した者が「俺たちは努力して勝ったから正しんだ」と、できない者に言う。それが社会に反映されるのは恐ろしい。

・我々は、評価の基準や引き出しを何通りも持たないといけない。

・一つの常識というフィルターにかけたら、ふるい落とされる者はたくさんいる。

・枠にはめるのではなく、その子しか持っていない才能を開花させないといけない。

・「組織の常識」とうフィルターにかけて才能を見逃していることが、どんな組織にもあるのではないか。

 

 大渕さんを教育現場にスカウトしたいくらいです。このスカウトの目を私たちも持てたら、教育もガラリと変わるはずです。