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No弐-675  宿題・家庭学習を考える4

 1月も最終日。1カ月が経ちました。あっという間ですね。

 今日は、S先生からメールをいただき、その中に「家庭学習」の話題があったので、1月17日(火)の日本経済新聞の「宿題を見直す」の記事を思い出しました。

 

  家庭学習については、No350(2019年6月11日)で「母親の家庭学習とのかかわり」を話題にしました。

 厚生労働省の「21世紀出生児縦断調査」(2018年5月)で、母親が家庭で子どもの学習に関わっているほど、子どもの学校外での勉強時間は長い傾向がみられました。

 子ども達の家庭学習の時間(塾の時間も含む)は、30分から1時間未満が多く、次に1時間から2時間未満が多いことも分かりました。

 

 No720(2020年6月15日)で再び「宿題を考える」を話題にしました。

 バンダイの「小学生の宿題に関する意識調査」(2019年12月)では、「毎日宿題がある」(83.8%)、「宿題はない」(0%)でした。

・好きな宿題も嫌いな宿題も同じで、1位「算数」、2位「漢字」3位「音読」

・宿題に取り組む時間は放課後(90%) 、場所は自宅のリビング・ダイニング(74.2%)

・宿題の相談相手はどの教科も1位は母親、子どもの自主性に任せている(51.3%) 

・親が考える宿題の意義の1位は、勉強する習慣を身につけさせる(46.7%)

 

 No弐-515(2022年8月24日)でも再び宿題・家庭学習を話題にしました。 

 精神科医で発達障害に詳しい本田秀夫先生の言葉を取り上げました。

 「私はそもそも児童や生徒全員に宿題を出すことは意味がないと思っています。勉強が好きな子は、宿題がなくても自分から勉強します。勉強が嫌いな子は、宿題が負担で勉強がさらに嫌いになります。

 宿題が子どもの役に立つことなど、ないのです。宿題は百害あって一利なし。私はそう考えています」

 

 日本経済新聞の「宿題を見直す」の記事は、2022年度から一律の宿題をやめた岐阜小学校の藤田忠久校長先生の寄稿でした。

★家庭学習への期待

・宿題の見直しを踏み切ったのは、第一に社会の急激な変化を乗り越え、未来を切り開いていくためには、その学力基盤として「自ら進んで学ぶ力」を養うことが大切だと考えた。

・この力は授業だけでなく、家庭の学習でも培いたい。

・家庭で時間を決め、自分から学習することが当たり前になれば、学習効果が高まり、学びに向かう姿勢も育まれる。

・自分で課題をもって取り組むことは目的に合った学び方や各教科の「見方・考え方」を向上させ、一人ひとりの可能性を広げることにつながる。

 

★取り組みの実際

・児童がやらされていると思いがちな「宿題」という言葉は使わず、「家庭学習」と呼ぶ。

・「家庭学習の手引き」をつくり、家庭に配布。

◎家庭学習の手引き

・1~2年(約30分) 目標「家で勉強する習慣を身につける」

漢字・計算ドリル、音読カードなど

・3~4年(約45分) 目標「自主性と持続力をつける」

 算数の練習問題、教科書の要点のまとめなど

・5~6年(約60分) 目標「課題設定力と持続力をつける」

 授業の予・復習、自分の関心があることについて調べるなど

 

・学年ごとの学習の目標などを示したうえで画一的な一律の課題を出すことは避け、児童一人ひとりが「自分の学習」に取り組むことが目標。

・各家庭で考えた塾や習い事も家庭学習の一つと捉えてよい。

・個人用タブレット端末、学習支援ソフト、算数のデジタル教材も活用できる。

・「勉強=座学」というイメージにとらわれないようにする。

・授業に関する内容だけでなく、児童の興味・関心に基づく調査や観察、夢や目標につながるような実技の練習なども家庭学習の例として挙げる。

・「体験活動は対話や記録等の言語化によって学びへと発展」とも付記し、メモを残ことなどで体験を自分らしい学習に発展する道筋も示す。

 

★教員の意識改革

・担任は宿題のノートより目の前の子どもに向き合うべき。

・子どもとの対話・協働を通じて児童理解を深めることこそ必要。

・子どもと校庭遊びをしながら仲間関係を見たり、一人ひとりの社会性を感じ取ったりすることに価値を見出すべき。

・「宿題をやってこない子」ではなく「学習内容が定着していない子」に声をかけて対策を講じることが大切。

 

★保護者へ(最新の学校便りで次のように投げかけた)

「担任から子どもたちに『授業進度や家庭学習の内容、方法を親に相談したりすることは子どもの責任!』と指導しました。

 どうか親子の対話を大切にし、我が子を見守り、見届けることを保護者の責務と認識して家庭学習にモ取り組んでいただきたいと願っています」

 

 いかがですか?この校長先生とは気が合いそうです。私が校長だったら、同じことをしたような気がします。

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