今日は、1月16日から連載された日本経済新聞の「教育岩盤 迫る学校崩壊③」(1月18日)に注目してみます。3回目は、「部活動」についてでした。
部活動については、No63(2018年8月28日) 、No弐-212(2021年10月25日)、No弐-579(2022年10月27日)で取り上げました。
2018年では、運動部に所属している中学生(73.9%)、高校生(49.0%)。
土曜日の活動は、中学校(59.6%)、高校(73.2%)。日曜日は、中学校(73.9%)、高校(67.7%)。
2021年では、中学男子(73%)、女子(55%)、高校男子(57%)、女子(27%)でした。増えているのは、中学男子は空手、女子はラグビー、高校男子はバドミントン、女子はサッカーでした。
監督主導の指導より、陸上や水泳、卓球、バドミントンのように個人、少人数でマイペースでできる競技が増えていることでした。
アメリカの高校では、運動部活動は主に「シーズン制」で、春は野球、秋はサッカー、冬はバスケットボールなどと、同じ生徒が季節ごとに異なるスポーツに取り組みます。
フランスでは、中学校や高校の「部活動」が存在せず、スポーツをしたければ、「全国学校スポーツ連合」運営のクラブ活動に、会費を払って参加する仕組みでした。
ドイツでは、スポーツは学校でなく、クラブでするもので、スポーツクラブ文化が浸透しているということでした。
・日本ではスポーツの普及に学校の運動部が大きく貢献。
・原点は明治時代に外国人教師が大学で伝えた競技(陸上、ボート、野球)。
・100年以上かけて「学校ごとに部活がある」文化が培われてきた。
★横須賀市の中学校女子バレーボール部の例
・2022年、3年生が夏に引退して部員5人減。大会出場に1人足りない。
・部員が6人しかいない近隣中との合同チーム結成し、秋から合同練習。
・市内では、これまでにバスケットボールや野球、サッカーでも同様の事態が起きる。
★部活文化の崩壊
・原因は少子化。
・全国には19競技1793の合同チーム。01年度の6.7倍(2021、日本中学校体育連盟)
・中学軟式野球部の部員数の推計 19.9人(2018)→3.5人(2048)(野村総研)
6校集まらないと紅白戦もできない。
★合同チームの課題
・部員の送迎や練習時間の調整などの学校の負担が増す。
・担い手となる教員の意識も変わってきている。
新任教諭の退職理由「部活の負担に疑問がわいた」
★体力低下
・中学生の持久走の平均タイムは1980年度前後に落ち込む。
・近年はやや改善していたが、コロナ禍などで再び低下。
・教育基本法の「知・徳・体」の「体」の充実を支えてきた部活の衰退は人材育成の土台を揺るがす恐れがある。
★地域連携
・欧米では会費や補助金で運営する地域のスポーツクラブが主に担う。
・文科省も段階的に部活運営を地域団体に移す方針。
・受け皿探しや人材確保を任された現場は困惑。
★北海道紋別市の例
・土日の地域移行を模索したが、地元競技団体は「指導者がいない」と難色。
・市議会は「部活は社会性を学び、仲間との連帯感を育む大事な学校教育の要素」の意見が上がり、計画は白紙。
★記者の目
・子どもが希望するスポーツに打ち込める環境を整えることが「知・徳・体」をバランスよく育む道なのに、八方ふさがりが続く。
・大人が知恵を絞るとき。
先日テレビを見ていると、ある高校生のダンスが見事でした。学校レベルでたくさんの子が関わっていました。友達と力を合わせる機会は、さらに見直されてほしいと願っています。
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