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No弐-657 学校図書費の自治体格差

  今日は、年末12月26日(月)読売新聞朝刊にあった記事からです。

 「学校図書費の自治体格差が大きいこと」をご存知でしたか?

 

★今年度の学校図書館の児童生徒1人あたりの図書購入予算(昨年11月、全国168自治体対象、読売新聞調査)

◎多い自治体

・小学校①島根県隠岐の島町(4240円) ②鳥取県琴浦町(4125円) ③愛媛県愛南町(3758円)

・中学校①東京都文京区(5484円) ②大阪市(4640円) ③愛知県美浜町(4414円)

 

◎少ない自治体

・小学校①茨城県筑西市(316円) ②熊本市(394円) ③熊本県益城町(430円)

・中学校①茨城県筑西市(206円) ②茨城県八千代町(371円) ③宮崎県股町(403円)

 

◎県庁所在市・政令市

・小学校 最多①名古屋市(2342円)、最少①熊本市(394円)、

・中学校 最多①大阪市(4640円)、最少①熊本市(525円)

・熊本市が最少なのは、2016年の熊本地震に伴い学校施設の修繕やが学習用端末の整備を優先したため。 

 

・小学校は約13倍、中学校は約27倍の差があることが分かった。

 こんなに差があるんですね。驚きです。

 

・文科省は26年度までに全小中学校で「学校図書標準」で示す蔵所数の達成を目指すが、小学校については36自治体が「十分な図書費を確保できていない」と回答。

・国は今年度、税収の多い「不交付団体」(東京23区、川崎市など)を除く自治体に、図書購入費用として199億円を地方交付税交府金で配分したが、使途が限定されないため、総額を図書費に宛てた自治体は10自治体(7%)のみ。

・「交付税の図書より優先度の高いICT関連経費に充てている」(複数の自治体)

 

★少ない自治体の実態

・熊本市では、「学校図書館図書基準」が未達成の学校に本の廃棄を認めていない。

 50年前の図鑑約1000冊は段ボールの保管。ドイツが東西に分かれ、ロシアもソ連のままの本が図書室に並ぶ小学校もある。

・茨城県筑西市では、痛みが激しい本は修復を繰り返す。

 

★多い自治体の取り組み

・島根県隠岐の島町は、百科事典更新の予算を手厚くした。図書館での調べ学習など「メディアの使い分け」を重視。

・鳥取県琴浦町は、19年度から図書費を倍増し、古い本の更新を計画的に実施

 

・松江市は、「学校図書館支援センター」を置き、教員や学校司書向けの研修、学校訪問を実施。

 各学年で必要な情報活用能力を各教科で育めるよう「学び方指導体系表」などを作り、指導を充実させている。

 

★学校図書館 人手不足

・学校図書館の整備や活用が進まない背景には、学校司書の不足や司書教諭が図書館の運営に充てる時間がないという事情がある。

・司書教諭と学校司書の配置は、いずれも公立小中学校で7割を下回る。

・小中学校ともに唯一100%だったのは島根県。財政支援で27%(09年)→100%(13年)

 

 現場では、図書の充実よりまず目の前の課題でしょう。ただ、「紙の図書は学びに不可欠な情報源」ですし、「本の新陳代謝」を進めていかないと、いずれ子どもの学力は伸び悩み、PISAの結果が下がれば、またあれやこれやとやることが増えていかなければよいのですが。