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No弐-656 変われない背景

 昨年12月18日(日)の読売新聞「あすへの考」は、同新聞編集委員の古沢由紀子さんの「新指導要領 膨らむ学習内容」でした。

 何かを変えなければ、昨日の「教員の心の病」は少なくならないし、働き方改革も進まないでしょう。

 10年に1度見直される学習指導要領、次期改訂(あと8年)まで待てるのでしょうか?

 

★新学習指導要領

・小学校(2020~)、中学校(2021~)、高校(2022~)

・「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)を掲げ、知識を教え込む一方通行型授業の改善を図る。

・新指導要領では、従来の学習内容や授業時間を維持したまま、小学校のプログラミング教育など新しい内容が加わった。

・最も大きな変更は小学校の英語で、外国語活動が3年生から前倒しされ、5、6年生の英語は教科化された。

 外国語指導助手(ALT)の配置に地域差。英語の授業を担う学級担任の負担は大きい。

・週1コマずつ授業時間が増え、多くの小学校で6時間授業が週4日を占める。

 

・全国連合小学校校長会は昨年10月、中央教育審議会に、次期学習指導要領の改訂に向け、早めに各教科の指導内容と指導時数の削減を強く要望する意見書を提出するのは異例。

 

★「ゆとり批判」への呪爆

・文科省内でも次期学習指導要領に向け、膨らんだ学習内容と指導時数の削減が必要という考え方が出ている。

 表だった議論にならないのは、「ゆとり教育批判への再燃を避けたい」との意向が強いためで、新指導要領で内容を減らせなかった事情もここにある。

 

・2002年度の学習指導要領は、「『ゆとり』の中で生きる力を育む」。

 完全学校週5日制の導入。授業時間、学習内容3割削減。小3以上「総合的な学習の時間」導入。

・2003年、06年、PISA(国際学習到達度調査)で日本の順位が急落

・削減した内容や授業時間を増やすと、PISAの順位は回復。

・2018年は、数学的応用力、科学的応用力は上位維持。読解力の順位は低下。

 ネット情報の信頼性を判断する力が課題→学習端末整備が加速。

・来年末に公表予定の最新調査も次期指導要領に影響しそう。

 

★シンガポールの教育

・PISAで上位のシンガポールは「少なく教え、深く学ぶ」という教育政策で知られる。

・暗記学習や一斉指導からの脱却を目指す。

・教師の質が高く、学校業務への支援が手厚い。

 

★古沢さんの提言

・アクティブ・ラーニングや探究活動を意味あるものにするには

 「ゆとり批判」の呪爆を超えて膨張した時間割を見直す。

 教師が意欲的に研さんを積める現場を整える。

・授業の質という前提が崩れれば、指導要領の理念と実態がかけ離れたことになりかねない

 

 「ゆとり批判」への呪爆が、改革を遅らせていることがお分かりになったでしょう。

 もっと危機感を持って、早く対応しないと改善はされないと思うのですが。

 PISAの結果に振り回され過ぎです。シンガポールにも注目したいです。

 私は、古沢さんのお考えに大賛成です。