公立小中学校の通常学級に在籍する発達障害のある児童・生徒は8.8%在籍する可能性があることが10年ぶりの文科省の調査で明らかになったことを今日は各紙で伝えています。
2002年(6.3%)、前回の2012年(6.5%)ですから、2.3%増えたことになり、この10年で変化が見られたことが分かります。
・小学生(10.4%)、1年(12.0%)、2年(12.4%)、3年(11.0%)、4年(9.8%)、5年(8.6%)、6年(8.9%)
中学生(5.6%)、1年(6.2%)、2年(6.3%)、3年(4.2%)、初調査の高校生(2.2%)
・男子(12.1%)、女子(5.4%)
・LD(6.5%)、ADHD(4.0%)、知的発達に遅れのない高機能自閉症傾向(1.7%)
★増加の理由(文科省)
・教員と保護者の理解が進んだことが大きい。
・「発達障害者支援法」が施行された2005年以降、発達障害の早期発見と支援の必要性が知られるようになった。
・学校現場でも保護者からの相談が増え、教員たちも常日頃、子どもを気をつけてみている。
・医師から発達障害と診断された人数(推計、成人も含む) 厚労省
31万人超(2011)→48万人(2016)
・子どもたちがテレビゲームやスマホにさらされ、言葉や文字に触れる機会や対面での会話が減っていることが、増加の一因という見方もある。
★実態
・授業中に教室内で個別の配慮・支援を受けていた児童・生徒54.9%(前回44.6%)、
受けていなかった児童・生徒43.2%(前回44.6%)
・教員らによる「校内委員会」で支援が必要と判断された児童・生徒28.7%(前回18.4%)
★通級指導
・比較的軽い障害を持つ子を対象に小中で1993年度に制度化され、2013年から高校でも始まった。
・2006年度から、LD、ADHDなどの発達障害の傾向を示す児童生徒も加えられた。
・通級指導は普段通っているが学校内の別の教室で受けるのが基本。
・通級指導を受ける小中高校生は過去最多の16万人超(2020)、10年前の2.7倍。
・通級指導を受けている児童・生徒10.6%(前回3.9%)
・文科省は17年度から10年計画で支援担当の教員を増やしているが、急増に追いついていない。
・20年度は約3割の子が近隣の学校に出向き、指導を受けた。
★指導の質の向上への対策
・文科省は19年度から、大学の教職課程で特別支援教育の科目を必修化。
・今年3月、新規採用された全教員に2年以上の特別支援教育経験。
★奥住秀之教授(東京学芸大・発達障害学)
・特別支援教育の経験が豊富な教員や通級指導の教員らが、学級担任の相談に乗りながら経験を積ませ、学校全体で通常学級での支援を考えることが重要。
★上野一彦名誉教授(東京学芸大・臨床発達心理学)の話
・通常学級に発達障害の傾向がある児童生徒が一定数いるとの認識が広がり、通級指導や教員研修の制度は次第に整ってきている。
・教員の専門性が不足している場合もあり、個々の特性に合った効果的な教育支援がされていない例も少なくない。
・例えば米国の学校には、専門知識のある教員が配置され、いつでも個々の特性に応じた教育が受けられる部屋がある。そうした部屋を各校に設けるなどして、効果的な指導、支援を強化すること必要。
小学校では、10%を超えると思っていました。実態はもっと多いのではないでしょうか?
発達障害という言葉が早くなくなることを願う一人です。
発達特性と捉えられれば、必ず良くなります。それを信じて理解すること、特別支援教育の勉強、連携は不可欠です。
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