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No弐-607 スポーツとの向き合い方の変化

 昨晩のサッカーワールドカップ初戦・ドイツ戦の勝利は、興奮しましたね。

 前半の戦いぶりを見ていると、よくて引き分けかなと思っていたので、ゴールが決まった時は、思わず声が出てしまい、拍手が止まりませんでした。不思議とこの時だけは、愛国主義者になってしまいます。

 

 早速今朝の各紙朝刊を見ると、前半までの様子だけを伝えていました。

★読売新聞 「日本、先制許す」「日本防戦PK献上」

「ドイツ戦 前半0-1」「鎌田が起点 ゴール迫る」「長友日本人最多12戦出場」

★朝日新聞 「8強の夢 若武者に託す」「日本 ドイツに食らいつく」

「前田オフサイド 幻の先制G」「世界レベルの『野心』期待」「独に先取点許す」

 皆さんならどの見出しが好きですか?

 私が文豪道場で扱うとしたら、確かに「日本防戦PK献上」なんですが、「日本 ドイツに食らいつく」って視点を称賛するかな。

 

 朝のニュースでは、ドイツ戦の勝利を各地で多くの人が集まって喜んでいました。

 その時、ふと一昨日の朝日新聞「耕論」の「異例のサッカーW杯」にあった廣瀬涼さん(ニッセイ基礎研究所研究員)の話を思い出しました。

 廣瀬さんは、「1989年生まれ。若者、エンタメ、オタク、流行などをテーマに、消費文化の動向についての研究」をしている方です。

 

★90分観戦 今や効率悪い?

◎「みんなが盛り上がる」とは?

・何かに人が盛り上がる姿を見て自分も盛り上がりたいと思い、そこに生まれる共鳴性が楽しい、という多数による一種のお祭り感覚。

・サッカーに関心のない人が入ってこそ「盛り上がり」と言える。

 

・今年も渋谷のハロウィーンに多くの若者が集まったが、「渋谷のハロウィーン」はパッケージとして定着。

★なぜ大勢が集まるのか?

・そこに参加した「トキ消費」から見出される高揚度の「タイパ」がめちゃくちゃいいから。

「トキ消費」その場、その時間だけに消費

「タイパ」(タイム・パフォーマンス) かけた時間に対する満足度

・大勢集まること自体が楽しいし、インスタグラムにもあげられるから、盛り上がる価値がある。

・サッカーは「点が入る」「勝つ」のは観ていれば誰でもわかるし、人を興奮させる。

 

★Z世代(現在10代後半~20代)のサッカーとの向き合い方

・盛り上がりに加わるのが目的の若者にとって、サッカーは本質的に「コミュニケーションツール」に過ぎない。

・数多くのコンテンツの情報があふれる中で、90分ずっとかじりつくのはタイパが悪い。

・映画やドラマの倍速視聴に慣れ、物語の結末をチェックすれば満足のように、サッカーも特典が入り、SNSのタイムラインで友達が盛り上がっている時だけ参加すれば、高揚の輪に加われる。

・試合を全部見なくても、得られるコミュニケーションの質は同じだと、若い世代は感じているかもしれない。

 

 「トキ消費」「タイパ」と聞き慣れない言葉が気になりました。一緒に盛り上がる体験って大事だと思います。

 しかし、負けてしまったらタイパが下がるのかしら?

 効率ばかりでは味気がない。時には無駄も愛おしいと思えるようになりたいな。