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No弐-579 米仏独の部活動

 一昨日の読売新聞朝刊の「スポーツで育む」にあった「『部活』あり方 欧米にヒント」の記事からです。

 

★アメリカ

・高校の運動部活動は主に「シーズン制」。

・春は野球、秋はサッカー、冬はバスケットボールなどと、同じ生徒が季節ごとに異なるスポーツに取り組む。

・一つの競技に1年を通じて打ち込むのではなく、多種多様のスポーツ体験を積むことで、生徒は自らの可能性に気付き、将来の選択肢を増やしていく。

・スポーツを学校から切り離すべきだという議論も出てきている。

 

課題①間口が広くない。

 ・人気スポーツは希望者がトライアウトして選抜されるため、競技能力や身体能力が高くないと入部できないケースもある。

 ・低所得者の家庭には、子どもを幼少期からスポーツに触れさせる金銭的余裕がない。

課題②指導者不足

 ・教員が部活動の顧問を務めた場合、報酬が支払われる。

 ・教員たちは忙しく、負担に見合った待遇でもないため、部活動の指導を望まない傾向。

 ・指導者を保護者が務める例も多く、コーチが圧倒的に不足している。

 ・ある民間コーチの例 指導は主に週3日、1日3時間、2日間は対外試合引率。

  1シーズン(3カ月)3000ドル(約45万円)の報酬。

 ・有望な子どもを持つ親の過度な期待も、指導者の負担。

 

★フランス

・中学校や高校の「部活動」が存在せず、スポーツに親しむことを望む生徒は、政府もかかわる「全国学校スポーツ連合(UNSS)」運営のクラブ活動に、会費を払って参加する仕組み。

・生徒は年間20ユーロ(約3000円)程度を負担することで、クラブに入れる。

・子どもたちは手ごろな金額で100種類を超える競技に触れられる。

・会場は主に学校の施設で、練習は週1回、約2時間。

・あくまでも楽しむことが目的。

・指導は学校の体育教師。指導できる時間は上限がある。

・学校単位ではなく、大きな組織として運営するため、他団体と連携しやすいのも特徴。

・「楽しむスポーツ」と「戦うスポーツ」でうまくすみ分けが成立している。

・本格的なアスリート活動を目指す生徒は、数多く存在する民間のスポーツクラブや国の選手育成期機関に移る。

 

★ドイツ(サッカー元代表 長谷部誠さん)

・スポーツは学校でなく、クラブでするもの。スポーツクラブ文化が浸透している。

・保護者の学校への期待は、日本ほど大きくない。

・日本との根本的な違いは、選手と監督・コーチとの間に敬語がない。友達同士に近い感覚。

 

★指導者としての心得(長谷部誠さん)

・「タレントを育てる条件」の一つは「才能」だが、それ以上に「成長できるポテンシャル(潜在能力)」が大事。

 

・人間性を磨けるように指導者がアプローチしないと、どれほど才能があっても輝けない。

 

・スポーツは、周りの人との関わりが大きい。子どもたちには社会で生きる力を学んでほしい。

 

・楽しさも大変さも、周りの人と共有することでより意味のあるものになる。

 

・これからの指導者に問われるのは、時代の変化に対応しながら(変えてはならない)芯を貫ける強さを持つバランス。

 

 この長谷部さんの「指導者として心得」を頭の片隅に入れて、子どもに向き合っていきたいですね。