· 

No弐-576 小平奈緒さんから学ぶ1

 一昨日のスピード・スケート・全日本距離別選手権で、現役最後のレースに臨み、有終の美を飾った小平奈緒選手に注目してみたいと思います。

 今日は、引退レース出場前の10月19日(水)の朝日新聞にあった小平さんへのインタビュー記事からです。

★引退の決断

・10月のレースを最後にすると決めたのは、この春。未練や迷いなどない。

◎「何となくこのぐらいの年齢(36歳)で次のステップに進みたいと思っていた。

 スケートの世界だけじゃない、違う世界も見てみたかったから」

 

・人生の分岐点に立った時、いつだって覚悟と責任を持って決断してきた。

★スケートを始めた決断

・3歳の時、2人の姉を追ってスケートを始めた。

 「本当にやりたいの?」「ずっと続けられるの?」の両親からの問いかけに、「なぜスケートがしたいのか」と自問を繰り返した末、覚悟を決めてスケート靴に足を入れた。

◎「自分で決断することが『やりたい』につながり、そこには責任が乗ってくる。

 最後は、『自分で決めたんだから、自分でやるしかない』。

 進むべき道を自ら選択していくことが、生きる上での大きな幹になっている」

 

★信じた道を真っすぐに・揺るがない思い

・大学生も参加する全日本ジュニア選手権を史上初めて中学生で制す。

・いくつもの強豪校からの誘いをすべて断り、スケート部のない長野県内の私立高校に進学。(中学から師事するクラブコーチの下で、継続して鍛えるため)

・高校卒業後、練習環境の整った実業団に進まず、信州大学に進学。(清水宏保さんを金メダルに導いた信州大学の結城監督の下で自分を磨きたいため)

◎「心が向く方に進むことで、生きている実感が持てる。

 滑りをいろいろな視点から捉え、変えていく姿勢は実業団より中身が充実している」

 

★ソチ五輪(2014) 500m5位、1000m13位

◎「結果にとらわれ過ぎて、スケートを極めることに真摯に向き合えていなかった。

 親から与えられた体で最高の滑りをする『唯一無二の自己表現』から、メダル獲得に目的がすり替わってしまっていた」

 

★オランダ単身渡米

・現地の言葉で技術を学び、深めていく。

・「技術の言語化」コーチや仲間と有意義に語り合うには、技術を言葉に落とし込んでいく作業が不可欠。

◎「考えを言葉にするという空間をみんなで共有することで、言葉に深みが生まれ、思考も育まれた」

・「足で力を出す」→「氷から力をもらう」

 体の動かし方が変化し、誰もいない領域へ足を踏み入れるきっかけになった。

 

★平昌五輪(2018) 500m1位 ただ1人36秒台(五輪新記録)

◎「あの時は体全体の動きが自動化し、自分で操っているのか、何かに操られているのか、分からないくらいの滑りだった」

◎「一人一人生まれ持った体は違うので、本来は比べようがない。

だけど、勝負を通じて個々の技術や能力が磨かれ、新たな自己表現が生まれる。 

 相花(韓国銀メダリスト)と高め合うことができたという点で、スケートは私の人生を豊かにしてくれた」

 

★生き様を表現する

◎「37秒の中の表現が私のすべて。

 タイムだけを追うロボットのような生き方はしてきていない。

 限界に挑んだり、連勝が続く重圧と闘ったりしたことで『表現者』として磨かれてきた。 

 私自身からあふれるものを見て何かを感じてくれたら」

 

★挑戦は楽しいか?

◎「根っからのチャレンジャーなのかも。

 人間なんて未熟だらけで完璧にこなせたら、挑戦することがなくなっちゃう。

 進むなら楽じゃない方がいい。生きているって実感できますから」

 

 小平さんって哲学者ですね。名言を「授業のまくら」で紹介してみてはいかがでしょう。