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No弐-573 大学ランキングの波紋

 昨日、「優れた頭脳の争奪戦」を紹介しましたが、これに関連した記事があります。昨日の朝日新聞朝刊「教育」欄に「米国で大学ランキングの波紋が広がっている」からです。

 

・米国には学位を授与する大学が約4000あり、様々なランキングがある。

・「恣意的」「大学の一部しか評価しない」などの批判は根強い。

・志願者は保護者への影響は大きく、順位を上げようとする大学も多い。

 

★米国の大学ランキング「USニュース&ワールド・リポート(USNWR)」

・2022年は1500大学を対象。「卒業率」「授業のサイズ」「教職員給与」「他大学幹部の意見」など17の指標を考慮。

・「全米大学」「地方大学」などのグループに分けて、順位を付ける。 

 

★名門「転落」の波紋

・9月12日発表のランキングでコロンビア大が2位から18位に順位を下げた。

・きっかけは、コロンビア大で数学を教えるマイケル・サデウス教授が2月、ホームページの載せた「コロンビア大のランキングをめぐる事実についての調査」と題した文書。

◎数値の違い

・「学生が20人未満の授業」USNWR(82.5%)→実際(65%前後)

・「フルタイムの教職員」USNWR(96.5%)→実際(74.1%)

・「学生対教職員の割合」USNWR(6:1)→実際(11:1)

・「学生1人当たりの予算」や「学生の卒業率」もUSNWRは実態を上回る数値。

 

★経緯

・ザデウス教授が調べ始めたきっかけは20人未満の授業の割合が感覚とずれていた。

「コロンビア大は少人数の授業の多さを誇りにしているが、20人以上が多い」

「私の微分・積分の授業は85人の学生がいる」

・個別の授業の学生数を全て確認すると、大学側がUSNWRに報告している数値と大きく離れていた。

・他にも不一致を発見し、「不正確、疑わしい、または非常に紛らわしい」として公開。

 

・大学新聞に記事が出て、メディアでも取り上げられる。

・大学側は、6月「データを確認するため、次のランキングには参加しない」と表明。

・USNWRは7月、21年公表のコロンビア大の順位を「取り消す」発表。

・大学側は、9月詳細なデータを公表。「学生が20人未満の授業」の数値は、集計方法に問題があった。「深く後悔しており、今後は改善する」と説明。

・USNWRは直後にランキング公表。コロンビア大は18位に。

 

★サデウス教授の話

・そもそも、数値化したランキングに無理がある。

・大学は複雑な機関であり、その役割は多様だ。序列をつけ、注目するのはやめるべきだ。

・USNWRにも、見抜くための仕組みがないことが明らかになった。

・このような事態に対する予防手段は乏しい。

・数値を有利に見せることによる効果は高い。

・同じようなことが他の大学でも起きていると想像するのは容易。

 

 私も情報を得るのに数値は参考にします。しかし、ランキングをすれば不正が働くことは覚悟しなければいけませんよね。私も順位をつけるのは自粛すべきと考えます。