先月「No弐-534」(9月12日)で「教員の勤務実態」や「働き方改革の課題と進み具合い」、「今年度の教員採用倍率」などを「No弐-543」(9月21日)では、「教員の質の低下のおそれ」、「教員離れの対策」、「授業に専念できる環境を整える働き方改革」などを取り上げました。
その後も、9月25日(日)の日本経済新聞、10月15日(日)の読売新聞にも新たな情報の記事があったので、紹介します。
★採用倍率の低下の見通し
・小学校では退職者の少なかった2000年度の採用者数は3683人で12.5倍
→2022年度は1万6152人で2.5倍。
・大量退職のピークは過ぎ、今後、数年で「倍率は底を打つのではないか」(文科省幹部)の見方があるが、地域差があり、大量退職が一服した関西などで持ち直すが、東北や九州では低倍率が続く。
★「定年延長」の影響
・23年度から始まる公務員の「定年延長」が倍率の急激な上下につながる可能性。
・2年ごとに1歳ずつ引き上げるため、定年退職者「0」の年が2年に1回来る。
・定年による退職者ゼロに合わせ採用を大幅に絞り、倍率が急増する自治体がでる可能性。
・退職者と採用者の状況を踏まえた中長期的採用計画が求められる。
★欧米の「教員離れ」
・フランスでは新たに必要な2万7300人のうち、4000人余り確保できていない。
給与水準の低さが指摘され、仏政府は給与引き下げを検討している。
・米国の状況も深刻。27.7%の学区が前年よりも埋まらない求人が増えた。(全米学校区長協会の調査)
新型コロナウイルスでの離職や給与の不満が理由。
★各自治体の志望倍率の実態
・大分県では、23年度採用の小学校教員志望倍率1.0倍。
採用予定者200人、出願者208人、1次試験10人欠席
・秋田県、福岡県では、22年度採用の小学校教員志望倍率1.3倍(全国最低)。
「これだけ低いと、教員としての適性が十分でない受験者でも採用せざるを得なくなる懸念がある」(秋田県教委)
「質の確保のためには最低でも3倍はほしい」(福岡県教委)
★教員志望者を増やす対策
採用試験の時期を前倒しや採用イベントの開催、茨城県のように試験日をずらしたり、県外に試験会場を設けたりした自治体がありました。
◎佐賀県 20年度から受験者の年齢制限を撤廃したが、小学校の倍率は1.4倍と低迷
①特色ある2つの特別選考 さがUJIターン現職特別選考、さが離島特別選考
②大学・大学院生推薦制度
③秋に2回目の採用試験実施
★青木栄一教授(東北大、教育行政学)の話
・採用倍率の低下により教員の質が維持できなくなると、国を支える人材育成全体への悪影響が懸念される。
・国や自治体は教員の労働実態の課題を正確に把握し、働き方改革を本気で進める必要がある。
・新卒一括採用頼みの教員採用を改め、子どもができたのを機に教職を離れた教員経験者や企業人らがパートタイムで教壇に立つなど、多様な人材を学校現場に取り込むべきだ。
教師の資質、職場に必要な人材、子どもに必要な人材って何かを真剣に考えるべきでしょう。
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