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No弐-566  変わる入試

 10月10日(月)の朝日新聞朝刊「教育欄」にあった「多様な学生求め 早まる入試」の見出しが目に留まりました。大学入試については、読売新聞の教育ルネサンスでも「総合型選抜1~5」(9月13日、14日、20日、21日、22日)でも取り上げられていました。 

 

★大学入試の種類(実施時期、2021年度入学者数)

①「一般」1~3月、30万4000人

②「総合型」9月~、7万7000人(1万2000人増)

 643校(774校中)実施(83%)、国立63校、公立38校過去最多

③「学校推薦型」11月~、23万1000人

・総合型・学校推薦型選抜は半数を超えた。

 

◎「ひらく 日本の大学」(朝日新聞・河合塾共同調査、6~8月、651校回答)

・今後募集人員を増やす「総合型」 (32%) 「学校推薦型」(31%)「一般」(9%) 

・「総合型」を増やす方向の私立(36%)、国立(21%)・公立(19%)

・「一般」選考を減らす方向の私立(12%)、国立・公立(14%)

 

★総合型入試

・志望理由書や高校までの活動報告書などを審査→面接や小論文。

・課外活動の実績を求めず、高校の成績と志望学部への熱意だけで見たり、学力試験や大学入学共通テストを課したりする大学もある。

・一発勝負に不安を持つ受験生や、早く合格を決めてほしい保護者にとって選びやすい。

・「総合型選抜は知識量を競うのではなく、学びたいこと、大学が求める学生像との一致が問われる」(予備校担当者)

・多様な評価項目 志望理由の表現力、集団討論、小論文の論理性、自主的な思考力、発想力、構想力、実行力など。

・対策講座を設ける学習塾や予備校の増加。

◎「受験生に求めるもの」アンケート調査(ベネッセ、21年12月~22年2月、494校回答)

 ①明確な志望動機(89%)②コミュニケーション能力(63%)③前向きに取り組む姿勢(61%)

 リーダーシップ(28%)、受賞歴や資格の状況、探究活動の実績(24%)は少なかった。

 

★お茶の水女子大「新フンボルト入試」

・2017年春入学の入試で導入。

・22年度入学の文科系の受験生の2次選考のリポートテーマ

 「今までにない、新しい、そして理想の住まいとは何ですか。論拠を挙げながら自由に論じなさい」

・受験生は42万冊の蔵書がある図書館で、図書やデータベースを自由に利用し、2000字程度にまとめる。制限時間6時間。

 

★大阪大理学部「研究奨励型」選考

・2次選考では、「ポスター発表」を実施。

・受験生は高校の自主研究をまとめた大判ポスターを持参し、10分間研究内容を説明し、その後に試験官の質問に答える。

 

★金沢大「KUGS(金沢大グローバルスタンダードの略)特別入試」

・全体で入学定員の1割程度、170人ほどの枠。

・出願は、①約80の高大接続プログラム受講後に提出するリポート

 ②高校2年生の9月から提出可能な「高校生の学び」のリポート

 計2本で評価基準を満たす必要がある。

・評価基準は、「自己の立ち位置を知る」「考え・価値観を表現する」「未来の課題の取り組む」など、6つの能力に照らした5段階で最低レベルが1つでもある出願できない。

・出願後、口述試験や小論文の選考のほか、大学共通テストや評定平均で学力もみられる。

 

★桜美林大「探究入試SPiral」

・17年から高校生に探究する学びを提供するプログラム「ディスカバー」を開始。

・21年は、約70あるプログラムに1.2年生中心に約9000人が受講。

・3年生から2次審査で探究学習に関する発表を求める。3年生受講者の約2割が受験。

 

 中学受験も入試方法が多様化しているようです。(9月17日朝日新聞)

・新タイプの入試を行う学校は、15校(14年度)→150校(22年度)に増加。

・応募者数 延べ1万7065人、「適性検査型」(約4割)。

 

★光塩女子学院中「総合型入試」 

・科目横断型の「総合」「国語基礎」、「算数基礎」の3科目で構成。

・字数制限なしで「あなたの考えを思う存分述べてください」とういう設問がある。

★宝仙学園理数インター

・11種類入試 読書プレゼン入試、英検3級以上の力をイメージした英語入試など

・「日本語リスニング」の併用。まとまった内容の文章を音声で聞いて趣旨を理解し、自分の考えを答える。

★聖学院中

・10年ほど前に思考力入試を導入。作文から始まり、現在はレゴブロックを採用。

・レゴは表現のツール。作品を基に文章で表現させる設問を複数出題。

・初年度は10人弱。年々増加、毎年約100人受験。

★相模女子中「プログラミング入試」(19年度~)

 

 学ぶ意欲・資質を見抜くには、多様化した選抜は魅力的ですが、「入試が簡単で、自宅から通えて、早く合格できる大学に進むという『安・近・短』の思考も強まった」のでは心配になります。仮にも大学、ハードルを下げてはいけないと思います。