今日は、10月9日(日)の読売新聞朝刊「ニュースの門」にあった「働かないアリの価値は?」からです。皆さんは、「無駄」って嫌いですか?
・集団の中には、鈍すぎて仕事に気がつかない働きアリが交じっている。
★働かないアリの観察(長谷川英祐准教授、北海道大・進化生物学)
・日本全国にいる「シワクシケアリ」を観察すると、全体の2割程度の働きアリで仕事をしているそぶりが見られなかった。
・コンピューターを使って、働きアリが一斉に働くコロニー(集団)と、働かないアリが一定程度いるコロニーを仮想して比較すると、働かないアリがいる方がやや長く存続することが分かった。
・一斉に働くと短期的には仕事の効率はいいが、やがて皆疲れて動けなくなる。
・卵の世話など中断できない仕事が滞って、コロニー全体の維持に影響する。
・働かないアリがいれば、疲れて休んでいるアリに代わって働ける。
・働かない「働きアリ」は、緊急事態の待機要員。
・目先の効率だけを追い求めすぎると、その集団は早く滅びる。
・無駄は、自然界での様々な生き物の共存に一役買っている。
★生物の多様性を支える無駄の進化(近藤倫生教授、東北大・生態学)
・生き物の多くは、種の繁栄にはつながらない見た目や機能を進化させるためにエネルギーを無駄に割いている。
・クジャク オスのきらびやかで美しい羽は、メスに選ばれて子孫を残しやすくするが、目立ちすぎて天敵にも狙われやすい。これは、種の繁栄につながらない。
・鳥のさえずる歌や求愛ダンス、オスのシカの角も、種の繁栄にとっては無駄な機能。
・しかし、「生物多様性」という観点でみれば、大切な進化となる。
・これらの進化にエネルギーが注がれることで、他の生き物を根絶やしにする強い種が登場しにくくなるので、弱い種も生き残れる。
★西成活裕教授(東京大先端科学技術センター、著書「無駄学」)の話
・目的でとらえ直せば、多くのことは無駄でなくなる。
◎「本の余白は無駄か?」
・「情報をできるだけ多く伝えるもの」と考えれば、四隅の余白は無駄。
・「知的活動を助けるもの」と定義すれば、書き込みできる余白は無駄ではない。
◎提唱する「仕事術」
・7割くらいの力やメンバーで取り組む。
仮に病欠などが相次いでも、残り3割のメンバーでカバーできる。
この3割は、短期的には無駄に見えても、長期的な計画を立てたり、詰まってしまった予定を解消したりするのに使える。
・予定の間には、ゆとりの時間を設ける。
ゆとりは、普段は無駄に見えてしまうが、何が起こるのか予測できない現代に、いざという時に対応できる。ゆとりを持っておいた方が強い。
★藤原麻里菜さん(29)が今年設立した株式会社「無駄」
・19歳から始めた無駄な発明品は200点以上。
・「メガネが濡れない傘」、「オンライン飲み会緊急脱出マシーン」(ボタンを押すと、パソコン処理中マークの模型が顔の前に現れる)
一昨日、紹介したバレエダンサーの二山治雄さんの恩師・塚田みほり先生も「無駄な努力をしろ」でしたよね。
効率ばかりに目が行くと、些細な変化に気が付かくなってしまうかもしれません。
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