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No弐-556 推し活の力

 先週、9月28日(水)読売新聞「Watchers 専門家の経済講座」の記事からです。

 専門家とは、中村伊知哉氏(情報経営イノベーション専門職大学学長)です。

 「アニメ・アイドル『推し活』の力」と言う見出しが目に留まりました。

 

 「No弐-486 〇活」(7月26日)で「ソー活」、「転活」、「保活」、「離活」、「菌活」、「燃活」、「眠活」、「寝活(ねかつ)」、「涙活(るいかつ)」、「呆活(ぼうかつ)」、「ソロ活」、「ヲタ活」を紹介したのを思い出しました。

 今日は、「経済」に注目してみます。

 

★「推し活」とは?

・2021年、「推し、燃ゆ」(宇佐美りん著)が、芥川賞を受賞し、「推し活」が流行語にノミネート。

・推しとは、自分が一番好きなアイドルやアニメのキャラクターなどに情熱を注ぐことで、それを周囲に進める活動を「推し活」と呼ぶ。

・10年ほど前から「AKB48」の熱心なファンによる推しや推し活が知られていたが、この言葉が、この数年で定着したと言える。

・推し活の担い手は老若男女を問わず、対象となるジャンルは、アイドルやアニメが多い。

 

★「オタク」とは?

・2002年、米国のジャーナリストが「クールジャパン」との名称で日本のポップカルチャーを紹介し、オタクは世界に通用する文化としてプラス評価を受けるようになった。

・2005年、ドラマ、映画「電車男」がヒットし、オタクという言葉が社会に広がった。

 

★「オタク」と「推し」の違い

・オタクは「お宅」。籠っていることが多く、所有欲が強く、消費の中心は若い世代。

・「推し」はすごく行動的。所有ではなく共有を求め、押し活に積極的。

・「オタク」は個人の行動、「押し」は仲間との行動。

 

★オタク市場の内訳

・①アニメ(2800億円)、②アイドル(1500億円)、③同人誌(800億円)、

 ④プラモデル(450円)、⑤フィギュア(330億円)、⑥コスプレ衣装(260億円)、

 ⑦プロレス(126億円) 合計6840.8億円

・アニメは17年度(2680億円)から19年度(3000億円)まで右肩上がりだったが、新型コロナによって劇場公開が中止されたため、20年度(2750億円)とわずかに減少。

・アイドルは17年度(2150億円)から19年度(2610億円)まで右肩上がりだったが、新型コロナでコンサートが大きく制限されて、20年度(1400億円)と約5割減まで落ち込んだ。

 

★「推し活」への期待

・日本国内のコンテンツ産業の売り上げは20年で約13兆円。

 グッズやキャラクタービジネスなどの周辺領域まで合わせると47兆円。

 日本の国内総生産(GDP)の約10%。

・推し活は波及効果がとても大きい分野。ネット上でコミュニティーを形成し、幅広く情報収集や交換し、そこで生み出された情報が口コミとして、周辺に伝わる。

・推し活の広がりは、企業にとって新たなビジネスチャンスを生み出す。

 

 確かに「推し活」は、経済にとっては絶好のターゲットなんでしょうが、社会や教育という視点では、少し心配になるのは私だけでしょうか?