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No弐-545  スカブラ

 今週は3日間だったんですね。毎週こうだといいですね。 

 朝日新聞別冊「be」にある山田洋次監督の「夢をつくる」から、日曜日には、第6回「常識をひっくり返す『寅さん』」、第7回「『渥美清は元気かい』が転機に」から「寅さん、渥美清さんの魅力」(No弐-540 9月18日)を、

 月曜日の敬老の日には、第2回「ふみさんの涙 映画の力を知る」から「  山田洋次監督の魅力1」(No弐-541 9月19日)を紹介しました。

 今日は、第3回「つらいときこそ笑いを」(6月11日)からです。

 

 「スカブラ」という言葉を聞いたことありますか?

 ルポルタージュ作家の上野英信さんの筑豊の炭鉱について書いた「地の底の笑い話」(1967)に出てくるそうです。

★スカブラ

・かつて炭鉱には「スカブラ」というあまり仕事をせずにウロウロして、働く人を笑わせる人種がいた。

・スカッとしてブラブラしているから「スカブラ」。

・仕事をさぼっているのにみんなから愛されている。

・生きるか死ぬかの危険な場所には笑いが絶対に必要だった。

・スカブラがいると仕事がはかどった。

・ふだんは働かないスカブラが、落盤事故が起こったら、こうしろ、ああしろと大声でみんなを指図して大活躍したらしい。

・ぶらぶらしているから全体が見えていた。

 

・渥美清という人を見ると、いつもスカブラと思っていた。「寅さん」はまさにスカブラ。

・自分はぶらぶらしながら、みんなに「労働者諸君!今日も一日ご苦労様でした」なんて言っている。

・さくらもおいちゃんもおばちゃんも、寅さんのやることを「馬鹿だねえ」「しょうがねえな」と溜め息をつきながら、しかしその存在は認めていた。

 

・生きていくには笑いが必要、寅さんのようなトラブルメーカーも必要な存在であることがわかっている。

・日本の映画に、そんな寅さんの居場所がなくなったあたりから日本はどんどん息苦しくなってきた。

・暗いニュースが世の中を覆う今こそ、寅さんのような困った奴の存在が、笑いが、必要なのに。

 

 「人は苦しいときに『笑う』ことでどれほど救われるか」という山田監督の言葉が沁みました。笑いのある家庭、笑顔がたくさんある教室を目指したいですね。