毎日が休日だとSWのありがたみを感じないことにちょっぴり恥ずかしさを感じます。あいにくの台風の影響による雨。こんなうっとうしい日には、寅さんの魅力で吹き飛ばしてください。
朝日新聞別冊「be」には、山田洋次監督の「夢をつくる」が4月23日からほぼ毎月1回のペースで連載されています。
第6回「常識をひっくり返す『寅さん』」(8月27日)、第7回「『渥美清は元気かい』が転機に」(9月17日)に山田監督が渥美清さんの魅力を振り返っています。
★寅さんの魅力
・寅さんを見ていると、みんな、気が楽になるという。
・既成の価値基準、モラル、約束事、上下関係などややこしいことから解放される。
・ごちゃごちゃでめちゃくちゃで何でもあり、というふざけ切った世界が寅さんの周りにフワっと立ち上がる。
・どんな権威も社会的地位も寅さんにとっては値打ちがない。
・彼は誰とでも仲良くなる。
・「お兄ちゃん、まじめに働かなくちゃダメよ」というさくらの説教に大まじめ反省したかと思うと、一夜明けて美しい女性に会えば、コロリと忘れ、恋ひと筋になってしまう。
・彼女次第で自分の価値観はコロコロ変わっていく。
・この男に会うと、正しいと思っていたことは不正になり、不正だったことが正しいことになったりしてわけがわからなくなる。
・寅さんには常識というものをひっくり返してしまう、ハチャメチャな自由がある。
★渥美さんの魅力
・撮影時では、片時もじっとしていない。そのすごいエネルギーと存在感は圧巻だった。
・渥美さんは僕の仕事場に来て、子どもの頃の思い出話を中心にいろんな話をしてくれた。
その面白いことといったら!驚愕した。
・鋭い観察力、おそるべき記憶力、豊かな表現力。
・聞きたいことを的確にとらえた話しぶりは落語名人の話芸をきっているかのよう。
・頭がいい人。「ああ、この人はよくわかっている、人間について、世の中について、世界について、何もかもお見通しなのだ」と思わせるような透明な賢さを感じさせる人。
★渥美さんの小学校時代のお話
・体が弱くて小学校はたびたび長期欠席、そのせいもあって授業には興味がわかず、良い成績をとろうという欲なぞさらになく、年中ビリでクラスのお荷物だった。
・雨が降ると体操の授業は教室でお話の時間になる、すると先生は「おい田所(渥美さんの本名)何か話しろ」と命ずる、渥美少年は待ってましたとばかり教壇に上る。
・友だちのうわさ、いたずらの話、先生たちのまね等々に、クラスは笑いの渦になる。
・廊下に聞こえて、授業のない音楽の女の先生が「私にも聞かせて」と入ってきて、子どもの小さな椅子に腰かけ、コロコロ笑いながら、しきりにスカートの裾を押さえて膝小僧を隠していた。
この話を聞きたかった。こんな少年がクラスにいたら楽しいでしょうね。
実は私も笑わせるのが大好きな少年でした。教師になってからも隣の先生から「ずっと子どもの笑い声が聞こえてましたけど、何を話してたんですか?」と尋ねられたのを思い出しました。
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