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No弐-534 教員の勤務実態&今年度の採用倍率

 No弐-517(8月26日)で神奈川新聞(8月18日)にあった「教員の過酷な勤務状況」を取り上げました。

 休憩が全く取れなかった小学校教員(51.2%)、この2年ほどの間に辞めたいと思ったことがある小学校教員(68.2%)の数字が印象に残りました。

 

 先週9月8日(木)の朝日新聞にも教員の勤務実態の記事がありました。

★連合総研・公立学校教員労働時間調査(今年5~6月、全国の公立小中高校と特別支援学校教員対象、9200人回答、インターネット実施)

・外部での会議や研修を含めた平日の在校時間(休憩時間を除く)の平均は11時間21分。

・自宅に持ち帰って仕事をした時間は46分。

・計12時間7分。1日の所定労働時間(7時間45分)を大幅に上回る。

・15年調査から在校時間は8分減るが、自宅での仕事時間3分増えた。

・所定労働時間を超える労働時間は月平均123時間。

・在校時間中の休憩時間「0分」(54.6%)

 

◎働き方改革のため国や自治体が取り組むべき課題

「学校への教職員配置増」(93.5%)

「授業時数削減」(66.4%)

「少人数学級編成の推進」(64.5%)

 

◎働き方の進み具合

「登下校対応の移行が進んでいる」(49.4%)

「徴収金の移行が進んでいる」(46.9%)

 

★調査を分析した清水敏名誉教授(早稲田大)の話

・教員の長時間労働の実態は大きく変化していない。

・教員の業務量の削減をめざすこれまでの路線から、予算を拡充して教員を増やす路線に力点を移すことが不可欠。

 

 これだけ教員を増やしたい声がある中で、翌日9月10日(土)の朝日新聞には、「小学教員の採用倍率最低」の記事がありました。

・今年度公立学校教員採用倍率 小学校2.5倍(昨年2.6倍) 3年連続過去最低を更新。

・採用者数16152人(288人減)、受験者数40636人(2812人減)

・新卒者256人増、既卒者3068人減

・受験者数の減り幅が大きく、既卒者が大幅減少。

・高校は5.4倍(昨年6.6倍、過去2番目に低い)、

・中学校は4.7倍(昨年4.7倍、過去3番目に低い)

・特別支援学校3.7倍(91年度と並び過去最低)

 

★教員免許発生件数上位の大学4年生アンケート調査(今年2~3月、9300件)

◎免許取得に至らなかった理由

・教職以外の志望度合いが高まったから(49.6%)

・必要な単位数が多くすべての単位取得が困難だった(37.2%)

・学校関係者からの情報で職場環境や勤務実態に不安を持った(26.3%)

 

★佐久間亜紀教授(慶応大・教育学)の話

・倍率は危機的状況。

・受験者数の減少は、働く方改革が叫ばれても老僧環境の改善が進まないことが背景。

・文科省は教職に希望が持てるよう、事務仕事を手伝いスタッフを増員するなど学校の人手を増やす対策をとってほしい。

 

 早く現場の声が届いて、明るい兆しが見えてほしいですね。